今季限りで引退! ヤクルト青木、阪神秋山、広島野村…記録に残る名場面をプレイバック!
「次が大事。次がダメならダメ」と自らを鼓舞
広島が球団史上初のリーグ3連覇をはたしたときのエースとして、現役13年間で通算80勝を記録した野村祐輔が最も輝いたのは、2016年だった。 野村は前年、5勝8敗、防御率4.64と、プロ入り後4年間でワーストの成績に終わっていたが、16年はドジャースに移籍した前田健太に代わるエース候補と目されていた。 4月5日のヤクルト戦でシーズン初勝利を挙げた野村は、同12日の中日戦も7回1失点で2連勝と徐々に調子を上げていく。 そして、4月27日のヤクルト戦、3回までパーフェクトに抑えた野村は、「5回くらいから最後まで投げたいと思っていた」と4~6回に安打や四球の走者を許しながらも、低めを丁寧に突いて要所を締め、7、8回はいずれも3者凡退。捕手・石原慶幸の巧みなリードにも助けられ、8回まできれいにゼロを並べる。 8対0とリードした最終回も、1死から川端慎吾に四球、山田哲人に左前安打を許したものの、バレンティンを二飛、雄平を遊ゴロに打ち取り、129球で完封勝利。 プロ5年目の初完封に、野村は「最後までボールが生きていた。もっと早く(完封が)できれば良かったんですけどね。(前日通算2000安打達成の)新井(貴浩)さんに運気を貰いました」と喜びに浸りながらも、「次が大事。次がダメならダメ」と自らを鼓舞した。 5月下旬から先発8試合で8連勝するなど、16勝3敗、防御率2.71をマークし、初タイトルとなる最多勝利と最高勝率の二冠を獲得。チームの25年ぶりVに貢献した。
久保田龍雄(くぼた・たつお) 1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。 デイリー新潮編集部
新潮社