[懐かし名車旧車] スバル インプレッサWRX:WRCの活躍で“SUBARU”を世界に発信
英国の名門とのタッグで参戦したWRCの走りが「SUBARU」の名を世界に知らしめた
しかし、1988年にモータースポーツを専門に手がける系列会社、STI(スバルテクニカインターナショナル)が設立され、翌年にレガシィが誕生して風向きが変わる。彼らはレガシィで国際速度記録に挑戦して成功させ、WRCにフル参戦できる体制作りも進めた。その過程で、英国の有力なレーシングコンストラクターのプロドライブ社と出逢ったのだ。レガシィの優れた素性を高く評価したプロドライは、STIと協力して1990年からWRCに参戦。1993年のニュージーランドラリーで念願の初優勝を果たす。そして、同年後半に真打ちのインプレッサが満を持して投入されるのだ。レオーネ時代RXの名に、世界を目指す心意気を加えたインプレッサWRXは、早くもデビュー戦で2位を獲得。 1994年からは文字通りの快進撃が始まり、1995年から1997年には、3年連続でマニュファクチャラーズタイトルに輝くという偉業を成し遂げたのだ。その活躍は世界にファンを生み出し、沿道をラリーカーと同じ青い服を着たファンが埋めつくすシーンも見られた。2代目WRXも2001年と2002年の連続でドライバーズタイトルを獲得。スバルの名は世界に知られるようになった。レギュレーションの変更やリーマンショックなどで、スバルは残念ながらWRCから撤退してしまった。しかし、その経験から得た走りの知見は、最新のスバル車にも脈々と受け継がれているのだ。
初代インプレッサの変遷とバリエーション
────────── 1992年 ────────── ●10月:インプレッサシリーズを発表、発売は11月から。4ドアセダンと5ドアスポーツワゴンのライ ンナップ(1.5L/1.6L/1.8LのNA)。セダンにはWRX(2Lターボ240PS/31.5kg-m)を設定 ────────── 1993年 ────────── ●8月:1000湖ラリー(現ラリーフィンランド)でWRCデビュー(グループA) ●10月:一部改良。セダンWRXに4AT車(220PS)を追加するとともにワゴンにもWRXを設定 ────────── 1994年 ────────── ●1月:STI(スバルテクニカインターナショナル)による限定コンプリートモデル「WRX STi」(250PS/31.5kg-m)発売 ●10月:一部改良。ワゴンの後部座席に分割可倒式を採用、WRX系の加給圧を見直し260PS/31.5kg-mにパワーアップ。セダンWRXのAT車を廃止するなどグレード体系を見直し。またWRX系のタイヤを205/55R15から205/50R16とし、ホイールデザインも変更 ●11月:WRXタイプRA STi バージョン(275PS/32. 5kg-m)発売。生産量限定の受注生産車だったが、予想以上の人気で供給が間に合わなくなり、やむなく少量で販売を中止 ────────── 1995年 ────────── ●1月:輸出向けだった2ドアクーペを「リトナ」という名で国内発売。1. 5LのFFと1. 6Lの4WDのラインナップ ●9月:好評のうちに販売終了となったWRXタイプRA STiバージョンのカタログモデルとして「STiバージョンⅡ」を発売。WRCカラーの「WRX555バージョン」をセダン555台、ワゴン100台の限定販売。 ●10月:最低地上高を上げ、背面スペアタイヤキャリアを採用したSUVタイプの「グラベルEX」(エンジンは2LのNA)を発売。 ●10月:ワゴンに女性をターゲットにした限定車「C’ z」を設定。 ────────── 1996年 ────────── ●1月:WRCドライバーズ/メイクスWタイトル獲得を記念し、限定車「セダンWRXV-Limited」を発売。 ●1月:ワゴンに2LのNAエンジンを積む「HX-20S」を追加。 ●5月:ワゴンに限定車「C’z-L」を設定。 ●9月:マイナーチェンジ。外装はリヤターンシグナルをクリアレンズに、アルミホイールデザインの変更など。セダンWRX系のエンジンはEJ20Kに変更され、自主規制枠いっぱいの280PSに到達(ワゴンはEJ20Gで250PS)。グレード体系の見直しでリトナ/グラベルEXは廃止。 ●9月:「STiバージョンIII」を発売。限定車だった「C’z」がカタログモデルに昇格。 ────────── 1997年 ────────── ●9月:一部改良。「STiバージョンⅣ」を発売。WRX系にホワイトメーター採用、WRX STi系の最大トルクを36.0kg-mに向上など ────────── 1998年 ────────── ●1月:3年連続WRCチャンピオン記念車「Vシリーズ」(3タイプのWRX限定モデル)を発売 ●3月:かつてのリトナ(2ドアクーペ)をベースにWRカーを再現した「22B- STiバージョン」を500万円で400台限定販売(即日完売) ●9月:マイナーチェンジ。WRX系は倒立式ストラットを採用、全車マルチリフレクターランプに変更、フロント意匠変更など ●9月:「STi バージョンV」を発売。2L NAのDOHCモデル「SRX」を発売 ●12月:ワゴンの特別限定車、ネオクラシックデザインの「カサブランカ」を5000台限定で発売 ────────── 1999年 ────────── ●4月:特別仕様車「C’zスポルト」を発売 ●9月:一部改良で外観変更、安全性能向上 ●9月:「STiバージョンⅥ」を発売 ●11月:WRXリミテッドシリーズ4車種を発売 ●12月:限定車「カサブランカ」がカタログモデルに昇格 ────────── 2000年 ────────── ●8月:フルモデルチェンジで2代目へ
────────── ●文:横田晃(月刊自家用車編集部) ※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
月刊自家用車編集部