[懐かし名車旧車] スバル インプレッサWRX:WRCの活躍で“SUBARU”を世界に発信
海外メーカーに影響を与え、専門家から称賛されるも、国内ではカローラ&サニーのライバルにはなりえなかったスバル1000
ただし、その代償としてスバル1000は、同年に先行発売された初代サニーより高価になった。後から発売されたカローラはスバル1000に近い価格だったが、マイカーに憧れる庶民の気持ちを巧みにくすぐったカローラと較べると、スバルの高性能や革新性は当時の人々には理解できなかった。スバル1000は専門家からは絶賛され、海外のメーカーにも影響を与えたものの、主たる市場である日本国内では、カローラやサニーの影に隠れてしまったのだ。
乗用車型4WDという個性を受け継いだレオーネだが、多くの人に認められるのは、次に登場したレガシィまで待つことになる
しかし、その志は後継モデルに受け継がれた。1971年に登場したレオーネには、インボードブレーキ以外のメカニズムがほとんど継承され、スタイリッシュなサッシュレスドアというわかりやすい魅力も身につけていた。さらに東北電力の依頼をきっかけに誕生した世界初の乗用車型4WDという個性も大事に育てられ、3世代17年に亘って熟成されるのだ。 そうして蓄積した他に類を見ない個性的な技術が、ついに多くの人に認められたのが1989年に登場したレガシィだった。ボディもエンジンも基本骨格から見直され、4WDのメカニズムも熟成されて、超高速走行を可能にしていた。スバル1000登場の頃と較べると、日本人のクルマを見る目も肥えたバブル真っ盛りに誕生したレガシィは、国内はもちろん、海外でも大ヒットとなった。 ただし、レオーネと較べると、レガシィの車格はひとクラス上。いくら好評でも、数が出るクルマではない。そこで、レガシィのメカニズムを活かしながら量販モデルとして企画されたのが、1992年に誕生したインプレッサだったスバル1000が開発された1960年代の日本の自動車技術は、まだまだ世界に追いついてはいなかった。走りの理論も未熟。FFの操縦性に関しても、前から引っ張るからFRより安定している、という程度の認識の時代だ。 【ハードトップセダンWRX(1993年式)】●全長×全幅×全高:4340×1690×1405mm ●ホイールベース:2520mm ●車両重量:1200kg ●エンジン(EJ20型):水冷水平対向4気筒DOHCターボ1994cc ●最高出力:240PS/6000rpm ●最大トルク:31.0kg-m/5000rpm ●10・15モード燃費:10.0lm/L ●燃料タンク容量:60L ●トランスミッション:5速MT ●最小回転半径:5.2m ●タイヤサイズ:205/55R15 ●乗車定員:5名 ◎新車当時価格:229万8000円