中国ブランドシェア6割を突破の一方で、同質化が進む中国市場の最新事情
同質化の懸念も
現在中国では100近いNEVブランドが割拠しており、自動車メーカー担当者でも覚えきれないほどのブランドを消費者も認知し分けることはできません。今回の広州ショーでも、ポールスターや販売が低迷しているジャガー・ランドローバー、一時注目された新興EVの遠航汽車などが出展を見送っています。 中国のNEVで生き残るのは20ブランド程度とすれば、日本メーカーを含め合弁系海外ブランドがいくつ残るのか。BYDの王伝幅会長が2024年春に予言したように、5年以内に10%まで縮小してしまうのか、それとも20~30%は維持できるのかは、中国の中核技術を活用して投入するモデルの成功にかかっています。 中国には、「良い酒は奥まった路地で売っていてもいい香りがするので、広告を出さなくても自然とお客さんが来る(酒香不伯巷子深)」という諺があるようですが、現在の市場は、酒の香りはどれも似ていて路地裏の奥に誘うにはトラフィック(人流)がないと成り立たない状況だと第一汽車頻道の記者は述べています。 どの会社のブースに行っても、E to E(エンドツーエンド)の自動運転、ChatGPT、AIと語られていることは同じで、「技術革新が停滞しているから同質化が進み、価格競争になる」状況が現出しているようです。
競争は中国の外に広がる
中国市場の過酷な競争を逃れて、欧州や東南アジア、南米など海外に活路を見出そうとしている中国メーカーの2024年の輸出台数は、2023年の500万台から2割以上増えそうです。 欧州は中国製EVに最大35.5%の追加関税を課しましたが、中国で合弁メーカーの中核技術を使うことを経験した海外メーカーは、今後は本国で開発する車両にも、中国発のアーキテクチャやソフトウェアを使用する可能性もあるでしょうし、少なくとも、これまでの規模の本国の開発体制は必要なくなると想像できます。 GMやステランティス、アウディなどのOEMや、ボッシュ、コンチネンタル、ZFなどの一次サプライヤーが相次いで千人単位の人員削減を発表しているのは、その動きが始まっていることの証左でしょう。北京で発表されたVWの「ID. CODE」は欧州でスタイリッシュなEVが人気のクプラ(Cupra)ブランドなどで販売しても良さそうですし、マツダも長安汽車と開発したEZ-6を欧州で販売することも検討しているようです。