中国ブランドシェア6割を突破の一方で、同質化が進む中国市場の最新事情
合弁会社は「後進」の代表ではない?
2024年の7~10月は連続してNEVの販売比率が50%を超え、通年の販売台数は1200万台に達すると見込まれます。成長を続けるNEV市場ではBYDとテスラが2強を成し、吉利汽車などの独立系中国メーカーの新ブランドや、ファーウェイが開発もしくは「HarmonyOS(鴻蒙OS)」など中核技術を提供する新興ブランドの躍進が続き、VWのID.シリーズやメルセデス・ベンツのEQシリーズなどは低調です。中国のプレミアム市場でかつて圧倒的な存在だったアウディの2024年1~9月のEV販売台数1万6300台で、総販売台数のわずか3.7%です。 こうした流れをなんとか食い止めようと、世界販売における中国の比率が30%を超えるドイツ3社や日系メーカーでも、デザインを中国テイストにしたり、合弁パートナーと共同開発する動きを加速しており、「合弁会社は『後進』ではない」ことを示そうとしています。 VWは北京モーターショーで「ID.UX」という新ブランドを立ち上げ、伝統的デザインから一線を画したSUV「ID. CODE」を発表しましたが、今回の広州ショーでは、アウディが上海汽車(SAIC)と協力して開発したフォーリングスのロゴの付かないEVクロスオーバー「アウディ eコンセプト」と新ブランド「AUDI」を披露しました。「SAICとアリババが共同して立ち上げたIMモーターズの車台をベースに、中国向けEVを開発」と2023年夏に報道されましたが、今回のモデルがこの第1弾にあたります。2025年半ばから計3モデルの導入が予定されており、わずか2年での開発はまさにチャイナスピードです。 また日本メーカーも、トヨタがBYDと共同開発の「bZ3X」や「bZ7コンセプト」などを披露し、日産は東風汽車と開発した「N7」などの新たなNEVを発表しており、現地メーカーの車台や中核技術をベースにしたモデルの投入が加速しています。 これらの合弁系海外ブランドのEVは、「レベル2++」のスマートドライビングやスマートコクピットなど、製品の「インテリジェント化」に集中して開発されており、シャオミやAITOなどの新々勢力に匹敵する性能をアピールしています。またVWもシャオペンと共同開発モデルを2026年に登場させるとしており、第一汽車頻道の記事は、「合弁系海外メーカーの反攻の第一段階が始まった」という中国メーカー幹部の言葉を紹介しています。