竹林の中を延びる線路 「日本一美しい」旧国鉄倉吉線跡、レールの間の竹は新世代 行ってみよう廃線跡
かつては地元の人々や観光客でにぎわったが、時がたち、利用客が減り続けて廃止となった鉄道路線。その廃線跡を訪ねると、自然に溶け込んだ線路、威容を保ち続ける駅舎、朽ち果てたホームなど、魅力ある鉄道遺構に触れることができる。これらを観光資源として活用する動きは全国各地で出ており、そのひとつが「日本一美しい廃線跡」といわれている旧国鉄倉吉線跡(鳥取県倉吉市)だ。 【写真】レールの間から伸びている竹。奥が新しく生えてきた「たけちよ」 ■救世主「たけちよ」 国鉄が分割民営化される2年前の昭和60年3月に廃線となった倉吉線。約20キロの間には多くのレールや駅ホームが残っており、最も人気があるスポットが竹林の中を線路が延びている区間だ。泰久寺駅と山守駅だった場所の間にある。高く伸びた竹が線路を覆い、光が漏れる様子は幻想的で「日本一美しい廃線跡」とされる理由が分かる。中でもインスタ映えすると評判なのがレールの間から生えた竹。現役の路線ならあり得ない風景で、廃止されてからの時間の長さを物語っている。コスプレをして撮影したり、ドレスを着て結婚の記念写真を撮ったりする人もいるという。 当初は3本生えていたが、1本が寿命となり、令和4年に伐採。さらにもう1本も5年ごろから枯れ始め、伐採が予定されていた。1本だけになるピンチを迎えたが、今年の春になって山守駅側へ約10メートル離れた場所にタケノコが出現。一気に成長した新しい竹は救世主として「たけちよ」という愛称がつけられた。6月に枯れた1本を伐採し、現在は2本態勢。地元の人は「よく生えてきてくれた」と胸をなでおろす。 山守駅側に残っている「山守トンネル」はふだんは立ち入り禁止だが、倉吉観光MICE協会が団体向けのトレッキングツアーのほか、個人でも参加できるイベント「ウオーキングオープンデー」を年に数回(今年は4~11月に8回開催)主催しており、これらに参加すれば立ち入ることができる。また、泰久寺駅はホーム、駅銘板(レプリカ)が残り、当時のひなびた雰囲気を味わえる。 ■記念館で歴史紹介