古市憲寿さんが選ぶ「子どもが手を離れたとき」の【ママに薦めたい3冊】|VERY
子育てに仕事に家事に忙しくても、いえ忙しいからこそ手にしたい、ママのための一冊。今回は今年出版された本の中から厳選した3冊を古市憲寿さんにおすすめしていただきました。
古市憲寿さんが選書力をもらえる一冊、教えてください「VERYママ書店」
❝いつか子どもは手を離れる、そのときの自分のために今何ができるか❞ 建築家、作家、アーティストである坂口さんが、まだ何者でもなかった自分を主人公にした『生きのびるための事務』。芸術家になるにも、「一番大切なのは感性を磨くことより事務」と言い切ります。夢が叶った10年後の1日の時間割りを作るという提案は、夢を叶えるために逆算的に何をすべきかわかります。結婚、出産してここから夢を叶える?と感じるかもですが、僕が仕事で出会う70代・80代は口を揃えて50代が楽しかったと言うんですよ。目の前の育児や仕事が大変でも、いつか子どもも手が離れる。皆さん優秀だからこそ毒親になりかねない部分もあると思うので、これを読んで子どものことだけでなく自分の未来を考え、自分に優しくあってほしいです。『往復書簡 限界から始まる』は母と娘、結婚、セックスなどについて日常会話ではしない込み入った話を、親子ほど歳の離れた社会学者同士濃厚に赤裸々にやりとりしています。上野千鶴子先生は「結婚とは、自分の身体の性的使用権を、特定の唯一の異性に、生涯にわたって排他的に譲渡する契約のこと」と書いていて、普通結婚のことをそうは考えないからおもしろい。手紙だからこそ内省や熟慮があり、でもひとつひとつは長くなく読みやすいです。『路傍のフジイ』は「何もなくていいんだ」ということが救いになる一冊。VERYでは幸せにならなきゃ、仕事頑張らなきゃと思って生きる人が多いと思いますが、ただ日常を生きている人がここにいます。人生には違う軸もあり、幸せの基準は自分で決めていいんですよね。僕自身はあまりこういう生き方は好きじゃないから選びませんが(笑)、自分の価値観を確かめるきっかけとしてもおすすめです。