名医・小林弘幸 60歳を過ぎたらどうしても後ろを振り返りがちだが…その先を前向きに生きていくヒントは「片づけ」にあった
「自律神経は50歳を過ぎると、野生動物であれば自然界で生きられないレベルまで下がる」――。そう語るのは、自律神経の名医・順天堂大学医学部の小林弘幸教授です。避けて通れない<老い>の真っただ中で、自律神経を整えて楽しく過ごしていくためには、どのような習慣を身に付けたら良いのでしょうか?今回は、小林教授の著書『老いが逃げていく10の習慣 自律神経さえ整えばすべてうまくいく』から、すぐに実践できる<老いない習慣>を一部ご紹介します。 【書影】自律神経の名医が、老け込まないコツを医学的視点から語る!小林弘幸『老いが逃げていく10の習慣 自律神経さえ整えばすべてうまくいく』 * * * * * * * ◆ほとんどの人は20%で生きている スポーツ医学の立場から、アスリートのアドバイザーをしてきましたが、アスリートのトレーニングには次の三つのアプローチ法があります。 (1)ストレングス:筋力を鍛え、技術を向上させるトレーニング (2)ケア:故障などでマイナスになった部分をゼロに戻すトレーニング (3)コンディショニング:実力を発揮するために状況に合わせて調整するトレーニング アスリートは、トップに近づけば近づくほど、同レベルの実力を持つ者同士が競い合う世界。持っている力を100%出し切れない限り結果を出すことができません。だからこそ、(3)のコンディショニングが大切になってきます。 このコンディショニングこそ、自律神経に関わる部分で、アスリートに限らず、誰もが日常生活に取り入れるべきだと、私は考えています。 具体的には、自分の行動や暮らしを見返して、今の状況に合わせて調整していくことです。つまりは、必要なことと不要なことを見極めて、本当に必要なことを的確に暮らしの中に配置していくことです。
◆「無駄な時間」に気がつく3つのステップ 一日の暮らしを100%の棒グラフに表すとすると、世の中のほとんどの人は、20%ぐらいで生きているのではないかと思います。80%はグレイゾーンで整理整頓できないまま、流されて生きているのではないでしょうか。 60歳を過ぎたら時間は貴重です。本来必要ではないのに何となく習慣になってしまっていることは、思い切ってやめてみてはいかがでしょうか。 そのためにやっていただきたいのが、次の三つのステップです。 (1)一日をふり返って、何時から何時まで何をしたなど、行動を書き出してみる (2)書き出したものを眺めて、何にどれくらい時間を費やしていたか確認する (3)本当に必要だったのか、その時間をもっと別のことに使えなかったか、考えてみる おそらく、ほとんどの方は何かしら無駄な時間があったことに気づくのではないでしょうか。 もし不要なものに多くの時間をとられていたことに気づいたなら、これからより健康で充実した日々を送るチャンスです。
【関連記事】
- 小林弘幸 便秘外来に来る男性患者は60歳を境に急増し…<定年・還暦=終わり>のイメージが人にどんな影響を与えるのか
- よい行いをしている人が、がんなどで亡くなるケースを多く見てきた医師・小林弘幸「善行を積めばいつか報われるなんて簡単に言えない。それでも…」
- 小林弘幸 人生は結局「不遇な時期をどう過ごすか」で差がつく。流れが悪いときほど大石内蔵助のように「こっそり、ひっそり準備」が正しい【2024年上半期BEST】
- 「見ざる・言わざる・聞かざる」は自律神経にもいい。名医・小林弘幸がエゴサーチをしない理由。飲み会は「なぜ参加するのか」明確に。〈猫画像〉で整える
- 小林弘幸 上司に認められない…でもそれって大事なこと?人生は「本当に大事なこと」と「どうでもいいこと」を切り分けられるかで決まる