人とは違う香りを纏いたい。「ニッチフレグランス」の世界とは?
推し香水を語る会 vol.3
フレグランスにまつわるよもやま話を、ゲストとともにフィガロジャポン編集部美容班が繰り広げる「推し香水を語る会」。第3回は、香り好きの間で注目度が高まる「ニッチフレグランス」がテーマ。ゲストにお迎えしたのは、フレグランスブランド「エディット」の創設者であり、世界のニッチ香水事情に詳しい葛和建太郎さん。日本初上陸の香りも含めたフレグランスを試しながら、奥深き世界に迫ります。 【写真】【推し香水を語る会 vol.1】永遠のテーマ!? 「自分らしい香り」について考える。 <ゲスト> 葛和建太郎 大手レコード会社のプロモーター、ディレクターを務めた後、世界50カ国以上をめぐる旅に。帰国後、家業を継ぎ2013年より創業1905年の印章商品ブランド「日光印」の6代目に就任する。日光印の香料を用いた伝統的な練り朱肉に着想を得てエディットを立ち上げ、日本の伝統と音楽ディレクターとしての経験や感性を組み合わせたフレグランスを提案。海外のバイヤーの間でも高い評価を得ている。 https://edithtokyo.com <フィガロ編集部美容班> 編集SK、編集TI、美容ライターNU
いま、なぜニッチな香りが注目されるのか?
NU 大手メゾンの名作香水の一方で、いま小規模なメゾンのこだわりの作り手が提案する「ニッチフレグランス」が注目されていますよね。 SK 理由のひとつに、最近フレグランスの選び方が変わったことがあると思うんです。90~00年代ってアイコン的なトレンドの香りがあって、「私、この香りをつけてます!」と周囲にアピールするような面があった。でもいまって「私自身が心地よければいい」という視点で、香りを選ぶ人が増えている気がします。 TI コロナ禍を経て「自分自身がリラックスできる香り」が重視されるようになりましたよね。 NU 葛和さんは、世界のニッチ香水事情に精通されていますが、海外ではどうでしょう? 葛和 まず大前提として、欧州は香水文化が非常に成熟しています。ヨーロッパでは、小さな街にも香水専門店がありますし、人々の生活の一部、身だしなみとして定着している。だからこそ「人と差別化したい」「自分だけの香りを纏いたい」という想いが強く、ニッチ香水のニーズに繋がるんだと思います。 TI でも、パリジェンヌに取材すると、意外に有名ブランドの愛用者が多い印象も......? 葛和 フランスは香水自体の歴史が長く、老舗の大手メゾンも多いので、そうなるんでしょうね。ニッチフレグランスの総本山といえるのが、実はイタリア。「Pitti Fragranze」と「Esxence」という世界的なニッチフレグランスの展示会があって、そこに世界中の名物バイヤーが集まってくるんですよ。そして「俺が選んだ香りはコレだ!」みたいに、目利き度を競っている(笑)。 NU エディットも参加されているんですか? 葛和 2018年のブランドデビュー時から、欧州の展示会や香水イベントに参加しています。そこで出合ったフレグランスブランドを今度は日本の香水ラバーに知ってもらいたいと思って、今年から輸入代理業も始めることになりました。今日は、伊勢丹新宿店を皮切りに開催される「サロン ド パルファン」で初お披露目する香りも含め、珠玉のニッチ香水を持ってきましたので、ぜひ試していただけたら。