人とは違う香りを纏いたい。「ニッチフレグランス」の世界とは?
目の前に「異国の風景」が広がる感動体験
NU ではせっかくなので、香りをテイスティングしながらお話を。私、今回お持ちいただいた海外メゾン、ほとんど知らないです......! 葛和 まだあまり知られていない魅力的なメゾンが、本当にたくさんあるんです。まずは「ハイラム グリーン」。2013年にオランダで設立され、天然成分にこだわったブランドです。クラシックモダンな作品が、先ほどの目利きバイヤーたちから高い評価を得ています。 TI ジュースの色がキレイですね。 葛和 これ全部天然成分なんですよ。すごくないですか? 中でも「ハイド」は世界的に権威ある香水アワード「THE Art & Olfaction」の受賞歴がある作品です。
NU 木を感じますね。スモーキーで......薪みたいな感じ? 奥にレザーもいる。 SK ヨーロッパによくある、暖炉の近くにレザーのソファがあるみたいな光景が思い浮かびます。 葛和 日本にはなかなかない香りですよね。SKさんの言う"ヨーロッパの光景"という意味では、「ソン ヴェーン」が、まさに北欧という感じです。2016年にノルウェーで設立されたメゾンで、スカンジナビア半島の雄大な自然にインスパイアされています。
TI ウッディとかアンバーの香水って、深みのあるものが多いけど、「サンタルスーパー」はトップが軽くて、あとからウッディが出てきますね。「アンバースーパー」も透き通っていて、クールな雰囲気が印象的です。 SK 研ぎ澄まされているというか、北欧のモノトーン感が漂いますね。ヨーロッパを旅した時に感じる香りかも。 葛和 北欧のメゾンって、デザインも含め、研ぎ澄まされたスタイリッシュなところが多いんです。ソン ヴェーンの創設者であるダグ・ラスカは、デザイン系のキャリアを持つ、本人もスタイリッシュな人物です。
個性の理由は、調香する国の「香料」事情
NU ニッチ香水は、"お国柄"が出やすいのかもしれませんね。香りを通して、ここではないどこかへ連れていってくれるような感覚があります。 葛和 確かに、国の個性が出やすいですね。なぜかというと、たとえばフランスで調香する場合、香料会社がたくさんあるので、使える香料の選択肢も多い。一方、香料会社が少ない国で調香する場合、限られた香料の中で作ることになる。その制限がいい意味で個性的な香りを生むんですね。その代表例ともいえるのが、リトアニア発の「ファム パルファン」です。 SK リトアニアってバルト三国のひとつですよね。私、この「ブラー」好き。肌の香りというか、自身の肌と一体化してすごく落ち着く。 TI ミドルノートは「へディオン モレキュール」って書いてありますが、なんでしょうね。 葛和 僕、リトアニアの香料会社を案内してもらったことがあるんですが、バルト三国のみでビジネス展開しているような小さな会社なんですよ。ファム パルファンの香りを嗅いでいると、おそらく、ほかの国ににあまり流通していない香料も使っているんだろうなと感じます。 NU 「ラルティスト」は、最初はキラキラしてて、フローラルの華やかさもあるし、お酒っぽさもある。ミドルノートの「ゼラニウム・バーボン」も、あまり聞かないノートですね。 葛和 「ラルティスト」は英語でアーティストの意味ですが、個人的には創設者のアイスティス・ミツカビツィオスのイメージに重なります。彼はリトアニアで著名なアーティストであり、俳優、映画監督でもあって。クリエイターの個性が反映されやすいのも、ニッチ香水の魅力かもしれません。