たしかに納得せざるをえない…なんと「この地球のすべてが取り込まれている」フライトシミュレータの、じつは「予想外だったユーザー」
クラウドの中の「空」
マイクロソフトは多様なソフトやサービスを提供する企業だ。OSとしてのWindowsやSurfaceなどのPC、クラウドサービスを提供すると同時に、ゲーム・プラットフォーマーでもある。 【画像】新MacBook Proで検証…最新M4プロセッサーの衝撃の実力 そんな同社のゲーム作品のなかでも、長い歴史と根強い人気の双方を兼ね備えているのが「Microsoft Flight Simulator」だ。特に、2020年以降は「多くの人が知る実際の街や空を飛べる」という点を追求し、圧倒的な物量と品質で高い評価を得ている。 その最新作である「Microsoft Flight Simulator 2024」が、11月20日より公開された。規模やリアリティはさらに高度なものになっている。その進化の背後にあるのは、単なるグラフィックの進化ではなかった。 開発責任者を務めるヨーグ・ニューマン氏に、2024年版がどのように生まれ、「クラウドの中の空」がいかにして構築されたのかを訊いた。
光の描写から航空力学まで、再現性を大幅に拡大
まずは、次の動画をご覧いただきたい。Microsoft Flight Simulator 2024のデモ動画だ。 Microsoft Flight Simulator 2024のデモ動画(動画は、本記事オリジナル版で公開中です) 前作である2020年版は、グラフィックの進化によってリアリティを増したことで人気を博した。最新版である「2024」は、もちろんさらにリアルな描写が可能になった。ニューマン氏がいう。 「たとえば雲に注目してください。2024年版では、より多彩な雲の種類を追加しています。しかし、最も異なる点は、『物理ベースの照明システム』へと移行したことです。太陽からの光は実際にどのくらいの明るさになるのか、大気でどう屈折して光が減衰するかを再現できるようになりました」
物理法則に従って自然を描く
ニューマン氏によれば、2020年版では正確に光を再現していなかったために、時折、雲が不自然に暗くなったりしていたという。それでも十分にリアルだったわけだが、より多彩な天候と自然を描くには、物理法則に従った表現法に変えていく必要があったわけだ。 砂塵が舞うような場所では、その影響で太陽からの光の色も変わって見えるようになった。