たしかに納得せざるをえない…なんと「この地球のすべてが取り込まれている」フライトシミュレータの、じつは「予想外だったユーザー」
「デジタルツイン」とはなにか
デジタルツインとは、現実の物理空間内に存在する情報を、仮想空間上でリアルタイムに再現する技術だ。Microsoft Flight Simulatorのようなソフトでいえば、地形や建物が「現実の物理空間内に存在する情報」ということになる。 Microsoft Flight Simulatorは、前作「2020」で世代を変えた。最新のグラフィックス技術の採用に加え、リアルな地形・建物の再現に努めたためだ。 東京やニューヨークのような大都市を建物ごと再現し、山や海岸線などの地形も、衛星画像などを活用しながらリアルに再現している。 2024年版では、これがさらにリアルになった。
ドローンがとらえた地形や地表のデータも活用
地形を作るために使われた「フィールドマップ」の解像度は、2020年の段階では「50cmから数メートル単位」であったという。 これが2024年版では「30cm単位」にまで細かくなっている。時間経過とともに、データを作るのに使われている衛星写真の解像度が飛躍的に向上したためだ。 また、現在はドローンでの撮影も容易になった。ドローンで撮影された地形や地表の写真を活用することも、データの精度アップにつながっている。
世界各地のランドマークを再現
加えて、各地形を構成するバイオーム(おもに気候によって分類される生物群系)を28種類に分け、それぞれの地域に合ったものを適用している。どんな樹木がどんな地形に生えているのか、各地の生態系をできるだけ忠実に再現しようとしているのである。 そして言うまでもなく、世界各地にある特徴的な建物や風景などのランドマークを増やし、各都市の再現度も高める努力がおこなわれた。 とはいえ、それだけの情報を集めるのは至難の業(わざ)だ。ヒットするゲームであり、マイクロソフトとしても巨額の予算をかけて取り組んでいる作品ではあるものの、「地球すべてを再現したデジタルツイン」を整備するのは手に余る仕事だ。 どのように実現したのか?