たしかに納得せざるをえない…なんと「この地球のすべてが取り込まれている」フライトシミュレータの、じつは「予想外だったユーザー」
水面への影響も再現
その理由は、飛行機が飛ぶ周囲の世界との関係を、よりリアルにするためだ。ニューマン氏がいう。 「数値流体力学モデル(CFD:Computational Fluid Dynamics)を導入しました。CFDによって複雑な形状の機体を正確に再現できるうえに、機体と地形の双方に及ぶ大気の影響を再現することも可能です。 飛行機が飛ぶと、機体の後方や下方に乱流が発生しますが、たとえば、それが海上や水上であれば、その乱流の影響で水面が押し下げられます。Microsoft Flight Simulatorでは、それも再現しているのです」
「現実に近い」機体の挙動を実現
前述のように、Microsoft Flight Simulatorでは、さまざまな気象状況が再現されている。 それは、単なる見た目やシンプルな風の動きにとどまらない。気温の変化は上昇気流や下降気流を生み出すし、乱流が地面に当たるとその影響でさらに空気が乱れる。地形は一様に平らなわけではなく、起伏があるうえに草木や岩なども存在するため、その影響はさらに複雑になる。 より現実に近いかたちで、飛ぶ場所や機体、天候などさまざまな条件によって飛行状態が変わるようになっているのだ。 演算リソースは限られており、シミュレーションの範囲にはもちろん制限があるわけだが、そのなかでできるかぎりの効率化・高速化をおこないつつ、従来よりも「現実に近い」機体の挙動を実現すべく努めたのだという。 「私たちは多くの航空機メーカーと協力して開発をおこなっています。彼らはみな、私たちがもっている手法にかなりの興味を抱いています。ここまでダイナミックに飛行条件を変えながら、機体の状況を確認できる手法はあまりないですから」(ニューマン氏) じつは、Microsoft Flight Simulatorに興味を示しているのは航空機メーカーだけではない。どういうことか? その理由を探る際のキーワードとなるのが、「デジタルツイン」だ。