西武3位浮上を演出した異色の2人…打者転向2年目の川越誠司が初本塁打&3年目”サブマリン”与座海人が初勝利
6回表からは自慢の勝ちパターンリレーへスイッチ。平井克典、平良海馬、リード・ギャレットから守護神・増田達至とつないでスコアボードにさらに「0」を並べた。8回表二死一塁でロッテの5番・井上晴哉にセンターへあわやの大飛球を打たれたが、1番打者として売り出し中の鈴木将平がジャンプしてキャッチ。フェンスに激突しながらもボールを離さないファインプレーでチームを救った。 2点を追う初回には岩下の初球を狙って二塁打で出塁。続く源田壮亮のタイムリーで反撃の狼煙をあげるホームを踏んだ22歳の鈴木へ、川越は「すごく刺激になっているので。自分も頑張らないといけない、といつも思っています」と胸中に秘めているライバル心を明かす。 ロッテ戦で放ったヒットは5本。実は3番から6番までが無安打に終わっていた。それでも白星をもぎ取った要因は鈴木に追いつけ、追い越せとばかりに闘志をたぎらせる川越、そして与座と攻守両面で新戦力が踏ん張ったことが大きい。厳しい言葉のなかに、辻監督も期待をのぞかせる。 「(川越は)ホームランを量産するようなバッターじゃなくて、まだまだヒットでも喜ぶぐらいの選手。もちろんこちらはホームランも打てる力ももっていると期待しているんだけど、もっともっと確率を上げていかないとレギュラーは獲れないでしょう。(与座も)内容的には満足できる内容ではなかった。でも、ピッチャーにとってこの世界での1勝というのは非常に大きいので。ヒーローになった2人にもようやく『1』がついたところで、この世界で活躍していくスタートが切れたと思います」 そろって試合後のお立ち台へ立ち、ホームランボールとウイニングボールを手渡された2人は、異口同音に「両親に贈ります」と表情を綻ばせた。パ・リーグ3連覇を目指す王者で、主軸を担ってきた先輩選手たちを下から強烈に突き上げる、生きのいい若手たちが次々と台頭してくる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)