「みんなと仲良くしなさい」は呪いの言葉? 1万人の非行少年を見てきた犯罪心理学者が警鐘を鳴らす「危ない声掛け」
親が口にしがちなあの言葉、実は子どもを縛り付けてしまう!?
「みんなと仲良くしなさい」――。親がよく口にしてしまいがちなこの言葉。果たして、本当に子どものためになるのでしょうか? もしかして、良かれと思って言ってきたことが、子どもにとっては“呪い”の言葉になっているかもしれません。 【漫画の続きを読む】親の言葉が非行少年を生む? 「みんなと仲良くしなさい」と言われ育った少年が、万引きに走った衝撃の理由 そこで今回は、1万人の非行少年・犯罪者と面接・心理分析してきた犯罪心理学者の出口保行さんが、事例とともに「危ない声かけ」「よりよい子育て」を解説したベストセラーのマンガ版『マンガ 犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉』(SBクリエイティブ)から、一部抜粋し、ご紹介します。 子どものころから「みんなと仲良くしなさい」と言われて育った少年は、次第に積極性を失ってしまった。その理由とは?
「みんなと仲良く」が個性を破壊する
子どものころから親に「みんなと仲良くしてね」と言われ続けて育ち、何事にも積極的になれないワタル…。 部活で一緒の苦手な同級生にも強く出る事が出来ず、次第に部活も休みがちになってしまう。 そんな時、ちょっと不良っぽいミツヤに声をかけられて…?
「嘘をついてはいけない」の嘘
「みんなと仲良く」のようなきれいごとを押しつけると、必ず問題が出てきます。実際にはできないので、ギャップに苦しむからです。子どもは「みんなと仲良くできない自分はダメだ」と思ってしまいます。「みんなと仲良く」と言っている大人ができていないのだから、不信感にもつながるでしょう。 「嘘をついてはいけない」もそうです。 詐欺のように人を騙(だま)して不当に利益を得たり、嘘をついて相手を傷つけたりするようなことはしてはいけません。しかし、誰しも小さな嘘ならついたことがあるはずです。「私は嘘をついたことがない」なんて言ったら、それこそ大嘘ではないでしょうか。 人を傷つけないためにつく嘘もあります。自分を守るためにつく嘘もあります。嘘は全部ダメだと言ってしまえば、実際に嘘をついてしまったときに困ることになります。一度ついた嘘を訂正することができず、嘘を重ねなければなりません。 「嘘をついてはいけない」とだけ教えられた子は、遅かれ早かれ苦しむことになるでしょう。「あれは嘘でした、ごめんなさい」と言えることが大事です。間違ったら修正すればいいのです。誰しも間違うことはあるのだし、間違ったからといって人格的な価値が下がるわけではありません。 嘘を告白し、訂正するのには勇気がいります。もし子どもが「嘘でした、ごめんなさい」と言えたらその勇気を褒めていいと思います。 また、大人が嘘をついたとき、適当にごまかせば不信感につながります。「こういう理由で嘘をついてしまいました。ごめんなさい」と伝えたほうがいいのです。