「みんなと仲良くしなさい」は呪いの言葉? 1万人の非行少年を見てきた犯罪心理学者が警鐘を鳴らす「危ない声掛け」
子どもが友達付き合いに悩んだら
一方、経験の少ない子どもにとっては難しいことです。だからこそ、失敗もしながら経験を増やしていくことが重要です。 ワタルにとって、苦手なシンジとどう付き合っていくかは、学びにもなったはずです。 親が指示するのではなく、本人が考えることが重要です。「誰々が嫌いだ」という相談があったなら、話をよく聞きながら「どうしてだと思う?」「相手はどう思っていると思う?」というように子どもが自分で考えるためのサポートをすることです。 そんなときに、頭ごなしに「仲良くしなさい」なんて言ったら最悪です。「そんなヤツと付き合うのはやめなさい」と言うのも同じようにダメです。親が指示することではないのです。 さらに言うと、「私が話をつけてくる」と相手の親や学校に言いに行くのも何の解決にもなりません。子どもに頼まれたならともかく、親が勝手に話を進めれば、子どもは気まずいに決まっています。
【Profile】出口保行
犯罪心理学者。1985年に東京学芸大学大学院教育学研究科発達心理学講座を修了し同年国家公務員心理職として法務省に入省。全国の少年鑑別所、刑務所、拘置所で心理分析した犯罪者・非行少年は1万人を超える。2007年に法務省を退官し、東京未来大学こども心理学部教授に着任。2013年からは学部長、2024年からは副学長を務める。現在、フジテレビ「全力!脱力タイムズ」にレギュラー出演するなど、メディア出演・講演多数。
【Profile】尾添椿
漫画家。1993年、東京都中野区出身。両親から心理的虐待を幼少期から受け続け、成人後に分籍・住民票の閲覧制限を両親に対して実行した体験を漫画にしてSNSに投稿、大きな反響があったことをきっかけにエッセイ漫画を描き始める。『生きるために毒親から逃げました。』『こんな家族なら、いらない。』(以上、イースト・プレス)、『そんな親、捨てていいよ。』『それって、愛情ですか?』(以上、KADOKAWA)など続々と執筆中。
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