バービーと同棲後、29歳で初めて選挙に行った僕が「友人と政治の話をしない」理由を考えた
「僕が初めて選挙に行ったのは、実は妻とお付き合いを始めてからだ。ちょうど一緒に住み始めた頃だったと思う。今から5年ほど前、僕は29歳だった」。連載「#nofilter」第15回の前編【バービーと付き合うまで選挙に行ったことのなかった僕が「投票に行きたい」と思った理由】で、初めて選挙に行った日を振り返り、なぜ29歳まで選挙に行くことがなかったのか、そして投票所へ足を向かわせたきっかけは何だったのかを率直に綴ってくれたフォーリンラブ バービーさんの夫・つーたんさん。後編では、今では毎回選挙に行くようになったけれど、友人や同僚と政治の話をすることはほとんどないというつーたんさんが、その理由を考えてみました。 【写真】 今年夏に生まれた娘と愛犬とともにお散歩に出かけたバービー家のひとコマ
選挙は自分の生き方を見直す良い機会
初めて選挙に行ったあの日からは、欠かさず投票に行くようになった。投票に行くためには、政治や社会の現状を改めて知る必要がある。その上で僕の場合、自分自身の生き方を見直す良い機会にもなっている。 大袈裟に聞こえるかもしれないが、その時々で自分が大切にしたいもの、譲れないものが見えてくるのだ。現に、今年の夏に子どもが生まれてからの2024年の衆議院選挙では、子育て政策を中心とした社会保障に一層注目するようになった。それぞれの世代がそれぞれの立場・視点で声をあげることの必要性を身をもって感じている。 僕が初めて選挙に行くきっかけにもなった選択的夫婦別姓の法案は、2024年11月現在では可決されていない。5年が経ってもあまり大きな進展は見受けられないようにも思う。民主主義において、一票は重くて軽いように感じる。それでも、あの日、投票に行って良かった。感じ方は人それぞれだが、僕は社会に見返りを求めるよりも、自分自身の考えや行動の指針ができたと考えた方が、一票の価値は大きなものになると思っている。 スマホのカメラロールを遡り、初めて投票に行った日を探すと、投票後に薄暗いレストランで妻とディナーをしている写真が出てきた。やわらかな表情の妻がオムレツを大切そうに食べる様子が写真に残っていたので、きっと美味しいものを食べて僕らは仲直りできたのだろう。 あの日、食事をしながら政治について妻と話したこともぼんやりと覚えている。僕はそれまで、政治についてパートナーや友人と会話したことがなかった。この日、妻と話したのが初めてのことだった。 友人との会話の中で、社会問題が話題になることはあっても、政治について、特に選挙で誰に、どの政党に注目しているかなど踏み込んだ話はしたことがなかった。 「野球、宗教、政治の話はタブー」という謎めいた暗黙のルールが昔からあるが、思いのほか浸透しているように感じる。漠然とアンタッチャブルなものと捉えている人は多いのではないだろうか。