かなり多くの朝ドラを見てきたが…『カムカムエヴリバディ』の安子篇が「もっとも好き」で、上白石萌音が「屈指のヒロイン」だと思うワケ
『カムカムエヴリバディ』のテンポがいい理由
朝ドラ『カムカムエヴリバディ』の再放送をしている。 NHK地上波の昼。12時30分から毎日1話ずつ放送している。この放送が終わると何もはさまずに『おむすび』の再放送があるので、だいたい12時30分から13時まではじっと朝ドラ2本を見ていることが多い。 【一覧】「令和最高の女優ランキング50」1位長澤まさみ、最下位はまさかの… 『カムカムエヴリバディ』は2021年に放送された。 わりと最近の朝ドラである。 いま再放送されるのは、今年2025年がちょうど放送100周年になるからだろう。 『カムカムエヴリバディ』は1925年に日本で初めてラジオ放送が開始されたところから始まり、そのまま母子三代にわたる物語が紡がれて、最後は2025年のシーンで終わった。当時としては未来のシーンで終わったのだ。 あらためて『カムカムエヴリバディ』を見ているとテンポがいい。 ヒロインが入れ替わるからだ。 安子(上白石萌音)、るい(深津絵里)、ひなた(川栄李奈)と三人のヒロインが入れ替わる。 朝ドラで、ヒロインが入れ替わるというのは、はるか昔のたとえば『いちばん星』(1977年春)での高瀬春奈から五大路子や、『春よ、来い』(1994年)での安田成美から中田喜子などがあった。これは役者さんの事情による入れ替わりである。 また、『おしん』(1983年)の田中裕子から乙羽信子、『カーネーション』(2011年)尾野真千子から夏木マリなどもあり、これは老齢に入っての役者の入れ替わりである。 子役からヒロインへの入れ替わりはさほど違和感を持たないが、乙羽信子や夏木マリへの入れ替わりは、日本中が困惑していた感じがした。なかなかむずかしい。 『カムカムエヴリバディ』はそれとは違う。
三代の物語
母子三代に渡り、それぞれのヒロインを描く。安子から見れば、自分と娘と孫、ひなたから見れば、祖母、母、自分、その三代の物語であった。 三人のヒロインが出てきた。 1話から38話が上白石萌音の安子篇。 39話から70話(32話ぶん)が深津絵里のるい篇。 71話から112話(42話ぶん)川栄李奈のひなた篇。 安子38:るい32:ひなた42 全112話である。 全話が少ない。 2021年はまだコロナの影響が色濃く残っていた時代で、本来なら10月1週目から始まる第1話が一か月遅れで11月1日開始だった。だいたい125話前後がふつうで、つまり4週ぶん、レギュラー放送よりも少ない。 3ヒロインのドラマだけど、安子は38話を境に、いったん消える。再婚して娘を日本に残し、アメリカに渡る。 物語はリセットされ、娘のるい篇が始まる。 るいは子供のころから、実母が不在であった。 るいは岡山を出て大阪でひとり働く。やがて結婚して、ひなたを生む。 るいは、ひなたとずっと一緒にいる。まあ、ふつうの母親ってことだけど。 るい篇の後半はずっとひなたがいるし、ひなた篇になっても、母のるいは一緒にいる。 だから、替り目は微妙である。 役者が子役から川栄李奈に変わったところから、ひなた篇とされている。