浦和サポが呆気に取られてブーイングを忘れた伝説の企画「メーカブー誕生祭」。担当者が「間違っていた」と語った意外過ぎる理由
メーカブーをめぐる物語は、これからも続く
メーカブー誕生祭の他、天童よしみさんが始球式を務めるなどやはり大きな話題となった2023シーズン開幕戦の映画『湯道』とのコラボイベントなど、田代さんは数多くのインパクトある企画を実行してきた。 「こうしてインタビューをしていただけるのは企画の責任者だったからだと思うんですけど、でもこの仕事って本当に自分一人でできる仕事じゃないんですよね。クラブスタッフの天野(春果)さん(※現・南葛SC)、若松(慧)さんをはじめとしたチームのメンバー、他部署の人たちも含めて、信頼して任せてくれたり、常に気に掛けてくれましたし、メーカブー誕生祭もそうですが1つの企画で10以上の団体が関わっていて、そうした団体や行政の方たちが企画の趣旨を理解して、協力してくださったり、本当に多くの方々のおかげだと感じています」 1年後の2024年5月3日、メーカブーの1歳の誕生日をお祝いするセレモニーが、再び浦和レッズとの試合前に行われた。 今や浦和サポーターの中には、メーカブーに特別な感情を抱いていたり、メーカブー関連のグッズを買っていく人も多く、「浦和サポはメーカブーの親戚(または父親)」「メーカブーが成人するまで見守る/見守って」といった声が、川崎Fサポーターからも浦和サポーターからもあがっている。 田代さんは2023年2月末に川崎Fを退職したため、1歳の誕生祭企画には関わっていない。だが今に続くストーリーは、2023年の誕生セレモニーから始まっている。きっとこの先もずっと、続いていくのだろう。 Never been done――。日本語にすると、“まだ誰もやったことがない”。スケートボード界でよく使われる言葉で、田代さんが大切にしている言葉だ。 田代さんの想いは、仕事を通じて、多くの人の心に届いている。他にはない、唯一無二の物語となって――。 <了>
[PROFILE] 田代楽(たしろ・がく) 1997年生まれ、東京都立川市出身。大学でスポーツマネジメントを学び、在学中から川崎フロンターレが運営するフロンタウンさぎぬまで採用される。2021年川崎フロンターレのプロモーション業務に従事し、2022年、2023年のJリーグ開幕戦、格闘技団体「RIZIN」とのタイアップ、メーカブー誕生祭など数多くの企画責任者を務める。2023年2月に退職し、4月から北米に渡って就職活動。同年7月にパシフィックFC(カナディアンプレミアリーグ)でブランディング業務に従事。配信しているPodcast「Football a Go Go」はポッドキャストランキング・スポーツカテゴリで最高6位入賞。Instagram:@gaku.tashiro
インタビュー・構成=野口学