浦和サポが呆気に取られてブーイングを忘れた伝説の企画「メーカブー誕生祭」。担当者が「間違っていた」と語った意外過ぎる理由
川崎フロンターレと陸前高田の交流の中で出会った、ふたりのマスコット
川崎フロンターレと陸前高田市の関係は、2011年に始まった。 3月11日、陸前高田の街は津波に飲み込まれた。小学校も大きな被害を受け、教材が不足する事態にあった。被災した子どもたちのために、クラブが毎年製作している「川崎フロンターレ 算数ドリル」とサッカーボールを車で送り届けたことが、交流のきっかけとなった。 その後は、陸前高田で選手によるサッカー教室、ベガルタ仙台とのドリームマッチやナオト・インティライミさんのスペシャルライブなどのイベントを詰め込んで陸前高田で開催した「高田スマイルフェス」、ホームゲームで陸前高田の特産品の販売や三陸名物の餅まきなどを行う「陸前高田ランド」などを実施してきた。 こうしたクラブと陸前高田の交流の中で、カブレラとたかたのゆめちゃんは出会い、親交を深め合った。2021年1月に交際が発覚、8月に堂々と交際宣言したのだった。 田代さんがプロモーションに従事することになったのはこの頃だ。担った役割は、カブレラとゆめちゃんの恋愛のサポートをすること。あくまでも、カブレラとゆめちゃんは自由意思のもとで恋愛をしているので、田代さんはその状況を整えてあげながら、ふたりの行く末をサポーターに届けることが務めとなった。 同年10月、多摩川クラシコの試合前、カブレラがゆめちゃんにプロポーズ。無事に成功した。ただ、ふたりの恋模様が進むにつれ、祝福の声と同時に批判も多く届いたという。 「マスコットに恋愛させるなという批判はクラブに届いていたと思います。カブレラとゆめちゃん本人には言ってませんでしたけど。でも大事なのは、これをきっかけに陸前高田を知ってもらうこと、フロンターレと陸前高田のこれまでの関係性を知ってもらう機会になることなので」 田代さんはこうした企画において賛否の両方あることが必要だと話す。 「賛否の“否”は絶対にあった方がいい。“否”がないものって、結局あまり人の興味をくすぐれていないんだと思います。もちろん、大事にしなきゃいけない人からの“否”だったら改善しなきゃいけない。今回でいえば、陸前高田の関係者の方々やフロンターレサポーター。でも多くの場合、“否”はその外側の人たちです。フロンターレと陸前高田のこれまでを知らないから“否”になる。でも理解してもらうことで“賛”に変わる人も出てくるはずです。この企画の肝は、フロンターレと陸前高田の絆を深めることや、陸前高田を多くの人に知ってもらうこと。そこがブレなければ、“否”があることは悪いことじゃないと思いますね。あのクラブには僕が入るずっと前から真摯に取り組んでいる先輩がたくさんいます。そういう姿を見ていたからこそ、彼らに尊敬の念を持って僕なりのやり方でこの企画を進めていました」