浦和サポが呆気に取られてブーイングを忘れた伝説の企画「メーカブー誕生祭」。担当者が「間違っていた」と語った意外過ぎる理由
中村憲剛氏も「ガチすぎてやべえな」と感嘆したゴールインパーティ
2022年4月、「カブレラ&たかたのゆめちゃんゴールインパーティ Supported by ゼクシィ」が行われた。 その名前の通り、田代さんは結婚情報サービス「ゼクシィ」に協力をもらいに行った。マスコット同士のゴールインパーティということで、ただのおふざけと思われたくはなかった。前出のように、根底にあるのはクラブと陸前高田の絆であり、陸前高田を多くの人に知ってもらうことが大事だからだ。田代さんはゼクシィの担当者にいきなり初対面で「結婚の在り方は多様化しています。マスコット同士の式を盛大に祝うことが、新しい幸せの価値観を提案することにつながるのではないでしょうか。それができるのはゼクシィさんしかいません」と切り出した。熱意は伝わった。 続けて、会場のレイアウト、招待状や席次表の作成、ゲストの選定、ケーキや引出物、パーティ当日の進行内容や演出の検討など、田代さんはあらゆる準備を進めていった。人間の結婚式でも新郎新婦それぞれのこだわりがあるように、カブレラとゆめちゃんにもそれがあった。料理もその一つだ。 「新郎新婦から陸前高田の名産品を使ったフルコースにしたいと。どんな食材があるのか、いつどうやって送り届けるのか、陸前高田市役所の方々にもご尽力いただきましたし、会場の料理人の方とも何度も打ち合わせでお会いしましたね」 人間同士の結婚式と比べて少しも見劣りすることのない、むしろ新郎新婦の多くのこだわりを細部にまで詰め込んだゴールインパーティに、参列したクラブOBの中村憲剛さんも「ガチすぎてやべえな」と漏らすほどだった。 「なんで自分の結婚式じゃないのにこんなに大変なことをやってるんだって思った夜は何回もありましたよ(笑)」
「子どもは空から降りてくるもの」。メーカブー誕生の瞬間を忠実に再現
田代さんは次に、子どもの誕生への準備を進めた。ただそもそもの大前提として、子どもは授かりものだ。誕生するかどうかも、誕生するとすればいつ誕生するのかも、当然誰にも分からないし、周囲がどうこうできることではない。ただその時に向けて、ゆめちゃんの親御さんとも話を進めた。 「『子どもは空から降りてくるものなんだよ』と教えていただきました。『そういうもんなんですね』って」 もしかしたら誤解している人もいるかもしれないが、メーカブーは等々力で誕生したわけではない。紙芝居風の映像にもあったように、陸前高田の「奇跡の一本松」が誕生した場所だ。 「陸前高田の皆さんの前で誕生して、いかにして等々力に連れてくるのか。やっぱり誕生した瞬間を忠実に再現したくて、ドローンで運んで空から降りてきてもらった、というのがあのセレモニーなんです」