“冷血ファイター”タイガー・ジェット・シンがアントニオ猪木戦で“礼節ファイト”【週刊プロレス昔話】
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アントニオ猪木を倒してNWF世界ヘビー級王者となったタイガー・ジェット・シンは1975年6月26日、蔵前国技館で3度目の防衛戦に臨んだ。サーベルを持って登場し、いつものように暴れるかと思いきや、レフェリーにサーベルを預ける。丸腰となったシンは、猪木とグラウンドの攻防を展開。ジャイアント馬場と共通のアメリカの師匠から教わった実力を、まさかの披露。場外戦も多少あったものの、猪木と技vs技の真っ向勝負を展開。1本目は猪木に押さえこまれたが、2本目を日本初公開となるアルゼンチン・バックブリーカーで猪木からギブアップを奪った! 3本目、技の攻防の末、猪木からバックドロップを浴びてフォール負け。NWF王座防衛は果たせなかった。しかし、これで終わりではなかった。試合後にも目を疑う光景が。猪木に手を差し出すと、ガッチリ握手をかわす。凶悪ファイターとして全盛期のシンがこのようなクリーンファイトを展開した試合はあとにも先にもこの試合だけであり、宿敵・猪木に対してのみ“もう一つの顔”を見せた異色の一戦としてシン史上に残るベストバウトの呼び声も高い。
週刊プロレス編集部