【日本の貯蓄事情のリアル】50歳代の平均貯蓄額はいくら?貯蓄格差が広がる要因を考える
日本で貯蓄格差がなぜ広がるのか
ここからは日本で貯蓄格差が広がっている原因について考察していきます。 ●同じ収入でも資産運用の有無で貯蓄額に差が出る 同じ収入の人でも、そのお金をどう運用するかで資産額は変わってきます。 収入のうち、生活費に使わなかった金額を銀行預金として置いておくのと、株式や投資信託のようなリスク性資産で運用をするのとでは大きな差が出てきます。 例えば、利回り3%の商品を月に1万円、20年間積み立て投資をしたというシミュレーションをします。 シミュレーションの結果、元本240万円に運用による利益の88万円が重なり、運用資産は328万円となりました。 利回り0%の場合だと240万円のみとなるため、同じ元本でも資産運用をしているかしていないかで大きな差が生まれてしまいます。 資産運用は将来的に大きな資産を築く期待が持てる一方で、元本割れリスクも存在します。 シミュレーションどおりに運用が進めばよいのですが、マイナスとなる年もあることを理解しておきましょう。 ●少子高齢化によって相続資金に偏りが? 資産は自分で築くだけではなく、贈与や相続によって増えるケースもあります。 三井住友トラスト・資産のミライ研究所が実施したアンケート調査から、相続資産額の規模を見てみましょう。 調査概要は以下のとおりです。 <調査概要> ・三井住友トラスト・資産のミライ研究所「相続資産の規模と形態について」 ・対象年齢:20歳~69歳 ・回答者数:1766人 ・リリース公開日:2022年11月16日 この調査から「相続を受けたことがある」と回答した人の相続資産規模は以下のとおりでした。 ・20~29歳:906万円 ・30~39歳:2628万円 ・40~49歳:1677万円 ・50~59歳:2850万円 ・60~69歳:2463万円 平均:2346万円 三井住友トラスト・資産のミライ研究所「相続資産の規模と形態について」によると、相続資産の平均額は2346万円、50歳代の平均は2850万円となっています。 相続した資産種別に見ると、「現預金」が含まれていた方が約7割、不動産(住居)、不動産(土地)などが含まれていた方がそれぞれ約4割という結果になっています。 日本の社会構造では、若い世代が少なく、高齢者が多いという構造がますます顕著になってきています。 一人の子に対して両親や両祖父母から相続があった場合、かなりの資産を継承することになります。 少子化の影響で兄弟姉妹の数が少なく、一人っ子が増えていることから、世代間の資産の受け渡しが一人に集中することで相続する資産額が増え、結果として貯蓄格差が生じる一因となっているのかもしれません。