なぜ香川真司はギリシャの強豪PAOKへの移籍を決断しチームはラブコールを送り続けていたのか?
ボルシア・ドルトムントやマンチェスター・ユナイテッドでプレーし、日本代表としても2度のワールドカップに出場している香川は、昨年10月から指揮を執るウルグアイ出身のパブロ・ガルシア監督をはじめとする、チーム全体から加入を望まれる濃密な経験をもっている。 さらに今シーズンで最終的に2位以内に入れば、来シーズンにおける新たな戦いを手にすることもできる。予選ラウンドを勝ち進むという条件つきながら、香川自身が2018-19シーズンを最後に遠ざかっている最高峰の舞台、UEFAチャンピオンズリーグを再び戦える可能性があるのだ。 今シーズンのPAOKは、チャンピオンズリーグ本戦出場をかけたプレーオフでクラスノダール(ロシア)に敗れ、自動的に回ったUEFAヨーロッパリーグでもグループリーグでの敗退を喫した。この時点でポルトガル出身のアベル・フェレイラ前監督が解任された経緯がある。 ヨーロッパを舞台にした戦いは、今シーズンに関してはすでに消滅した。それでも優勝20回のパナシナイコス、12回のAEKアテネ、ともに3回ずつで並ぶテッサロニキのライバルチーム、アリスとの熾烈な戦いを制し、オリンピアコスに肉迫するほどに来シーズンへの視界が開けてくる。 そして、香川のモチベーションをいやが上にも高める状況がもうひとつある。ドルトムント時代に自身を象徴する背番号となり、いつか迎え入れるときのためにセレッソも空けている「23番」がまるで運命に導かれたかのように、つけていた選手の移籍によりPAOKでも空き番となって新たな持ち主を待っている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)