横浜FCの42歳MF中村俊輔が語るプロ25年目覚悟「自分にしか出せないものを」
ヨーロッパや日本代表の戦いで数多くの伝説的な場面を生み出した「黄金の左足」を武器に、正確無比な直接フリーキックからJ1リーグで歴代最多の「24」のゴールを決めているMF中村俊輔(42)が、プロになって四半世紀目となる2021シーズンへ不退転の決意を抱いて臨む。 ジュビロ磐田から加入して3年目を迎えている、横浜FCの和歌山キャンプ3日目の22日にオンライン形式の取材に応じた俊輔は、出場10試合、プレー時間240分とともに自己ワーストに甘んじ、2年ぶり2度目のノーゴールに終わった昨シーズンをバッサリと斬り捨てた。 「自分に苛立つ毎日でしたけど、そうした状態でも何かを見出ださなきゃと、ずっともがいていました。ただ、努力しても結果を出せなかったので、プロとして自分のなかで評価は低いですよね。無得点だったことが情けないし、試合に出ないと忘れられてしまうので」 昨シーズンの船出は順調だった。敵地に乗り込んだ2月23日のヴィッセル神戸との開幕戦で慣れ親しんだトップ下として先発し、アンドレス・イニエスタと対峙した。試合は1-1で引き分けたが、俊輔は充実した表情を浮かべながらスペインの至宝との競演を喜んでいる。 「サッカーが身体に染みついている。こういうところで、まさか一緒にできるとは思わなかった」 しかし、直後に突入した新型コロナウイルス禍による長期中断が状況を大きく変えた。再開へ向けてカテゴリー間の降格をなしとする特例が設けられ、交代枠も従来の「3」から「5」に増えた。結果を恐れる必要がなくなった影響で、各チームとも若手選手をより積極的に起用した。 中断中にシステムを[4-2-3-1]から[3-5-2]へ、夏場以降にはさらに[4-4-2]へと変えた横浜FCも例外ではない。主戦場を2019シーズンのボランチへ戻した俊輔も途中出場が続き、時間の経過とともにベンチ入りメンバーから外れる試合も目立ち始めた。 最終的にボランチでは24歳の手塚康平、右サイドバックでも重用された23歳のルーキー瀬古樹(明治大卒)、20歳の安永玲央が多くの出場機会を得た。ホームのニッパツ三ツ沢球技場での試合時に、メインスタンドの上段から戦況を見守る時間が増えた俊輔は、当時の胸中をこう振り返っている。 「いつかはこういう時期も来るんだ、とかみしめながら見ている感じでしたけど、もちろん悔しいし、もっとプレー時間をもらえればもっとできるのに、という思いもありました」