なぜ香川真司はギリシャの強豪PAOKへの移籍を決断しチームはラブコールを送り続けていたのか?
ヨーロッパの舞台における挑戦は継続させながらも、スペインでのプレーにこだわってきた方針は撤回する。これが「自分なりの決断」ならば、PAOKとの交渉が合意に達した報道も合点がいく。さらに香川は元日に動画を投稿し、ファンへ届けた新年の挨拶のなかで決意を表明している。 「僕自身も2021年、素晴らしい年になるように。まずはこの1月に、みんなへいい報告ができればいいかなと思っています。そして、サッカー選手である以上、やっぱりこのグラウンドの上で自分自身の力を証明していかないといけないし、それをしっかりと自分の力で成し遂げていきたいと思うので、また熱い声援をよろしくお願いします。それでは、今年も頑張っていきましょう」 自撮りしたと思われる動画は、現地時間の元日正午すぎにアップされている。おそらくはサラゴサの施設で、個人的に積んでいる練習の前後に撮られたのだろう。強風が吹き荒ぶなかで発せられた40秒あまりの言葉のなかで、香川は「サッカー選手である以上」の部分でおもむろに語気を強めた。 それに続く言葉にはエルチェに敗れた昨年8月のプレーオフを最後に、実戦のピッチに立っていない自分自身に対して抱く危機感が反映されている。3月に32歳になる年齢を考えれば、ゲーム勘やゲーム体力が失われていく分だけ、選手寿命の面で致命的な影響を与えかねないからだ。 そして、一度は断りを入れられながらもあきらめず、継続して香川へオファーを出してきたPAOKには、香川が望む「グラウンドの上で自分自身の力を証明」するための戦いが待っている。 14チームで争われるギリシャ・スーパーリーグで、PAOKは最新の順位で4位につけている。もっとも本当の意味での戦いはこれからで、ホーム&アウェイで2回戦総当たりのレギュラーリーグを戦った後に、上位6チームが再びホーム&アウェイでチャンピオンシップグループを戦う。 昨シーズンのPAOKはレギュラーリーグを2位で通過し、チャンピオンシップグループとの合計勝ち点で争われる最終的な順位でも2位に入った。もっとも、史上最多となる45回目の優勝を決めた名門オリンピアコスには、勝ち点差で18ポイントもの大差をつけられてしまった。 オリンピアコスは今シーズンも無敗で首位を独走している。レギュラーリーグを突破し、さらにチャンピオンシップグループで差を詰めていく上でも、得点ランクで4位につけるエース、ポーランド出身のFWカロル・シフィデルスキとコンビを組める中盤の攻撃的な選手を必要としている。