実際のところ、宇宙はどれくらい大きいのか…銀河10万個分を超える「途方もない数字」
138億年前、点にも満たない極小のエネルギーの塊からこの宇宙は誕生した。そこから物質、地球、生命が生まれ、私たちの存在に至る。しかし、ふと冷静になって考えると、誰も見たことがない「宇宙の起源」をどのように解明するというのか、という疑問がわかないだろうか? 【写真】いったい、どのようにこの世界はできたのか…「宇宙の起源」に迫る 本連載では、第一線の研究者たちが基礎から最先端までを徹底的に解説した『宇宙と物質の起源』より、宇宙の大いなる謎解きにご案内しよう。 *本記事は、高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所・編『宇宙と物質の起源「見えない世界」を理解する』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。
無限に広がる大宇宙、と言うけれど…
無限に広がる大宇宙。皆さんも、これまで数え切れないほど、夜空を見上げてこられたのではないでしょうか。筆者も、かつて過ごした東京のような都会であれ、兵庫県南部のベッドタウンの加古川であれ、イギリス湖水地方に近い田園地帯に囲まれたランカスターであれ、数え切れないほど夜空を見上げてきました。 それぞれ多い、少ない、の違いはありますが、いつどこであっても夜空には星々が凜としてきらめいています。人生のそれぞれの状況に応じて、時には目が覚めるような明るさにハッとさせられた経験をおもちの方もいらっしゃるでしょう。 私たちは、目まぐるしく変わる日常を生きています。しかし、いつ見上げても、夜空の星々は、まったくその姿を変えないかのように宇宙に浮かんでいます。皆さんも、この一見、不変であるような宇宙が、いったいいつから存在し、そしてどこまで遠く続いているのか? その果てしない大きさと悠久の時の流れに、思いを巡らせたことがあるのではないでしょうか。 実は、夜空の星座の配置などがいつ見ても変わらない、つまり宇宙は不変であるかのように見えることは、宇宙、もしくは銀河系(われわれの銀河)がとてつもなく大きいということと関係があります。簡単に言うと、光の速度で飛んで約10万年かかる天の川銀河の全体の見た目を変更するためには、少なくとも10万年以上かかるからなのです。