実際のところ、宇宙はどれくらい大きいのか…銀河10万個分を超える「途方もない数字」
信じられないくらい巨大な超銀河団、そして…
銀河団もある程度まとまっていて、銀河団を100個以上、つまり銀河を1万個以上含む、超銀河団を形成していることが明らかになってきました。超銀河団の大きさは約1億光年以上、つまり約10²⁴m以上です。われわれの銀河を含む超銀河団は「ラニアケア超銀河団」と呼ばれ、ハワイ語で無限の天空を意味します。2014年にハワイ大学のグループが初めて提唱しました。皮肉にも、われわれの銀河を含む構造は、なかなか遠くから詳しく見ることができないので、真の姿の発見が遅れる傾向があるのです。ラニアケア超銀河団の直径は約5億2000万光年、つまり約10²⁵m、質量は銀河を10万個含む重さ(10¹⁷太陽質量)です。 超銀河団も十分に大きいのですが、実は宇宙をもっと大きなスケール、100億光年の長さのスケールで観測すると、こうした銀河の大規模な構造ですら、一様に見えてくることが知られています。100億光年とは、現在の宇宙の年齢が138億歳なので、ほぼ宇宙年齢をかけて光が到達する距離、つまり宇宙の地平線の大きさです。一様とは、横にずらしても同じ模様であるという意味です。また、回転させても同じ模様である(等方と言います)こともわかってきました。観測から導かれる性質ですが、この一様等方性を「宇宙原理」と呼びます。 宇宙原理に従うと、この宇宙には大きなスケールで見ると、特別な場所はない、ということになります。私たちが住んでいる、地球、太陽系、われわれの銀河、銀河団、超銀河団は、特別な場所ではなく、宇宙にありふれている場所であるとする原理なのです。次に説明する、コペルニクス原理が天動説をくつがえして地動説を唱える状況と似ています。また、138億光年より先に、何もない、とは言っていないのです。実は、われわれ理論物理学者は、その外のことを計算で知っているのですが、観測で確定したわけではありません。科学者は実験で検証されていないことは報告せず、わからないと言わざるを得ないのです。 * * * さらに「宇宙と物質の起源」シリーズの連載記事では、最新研究にもとづくスリリングな宇宙論をお届けする。
高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所