田舎へ移住して給料ももらえる…「地域おこし協力隊」7人に聞いた現場のリアル やりがいあるが、課題は定住 起業や政治家への転身も
いの町で第1号の隊員として、神奈川から家族で移住した。スポーツバイク店の店長経験を生かし、サイクリングイベントなどを企画。現在はクラフトコーラの販売や、スポーツイベント主催のほか、よさこいチームを立ち上げ、にぎわいづくりに取り組む。 「地域にとってプラスになることに挑戦することは、わくわくする」 ▽起業した元隊員 18人もの地域おこし協力隊が活動している自治体がある。高知県日高村だ。ここで、隊員たちが任期後も定住して起業・就業できるようサポートしている女性もまた、元隊員だ。 東京の広告会社で働いていた小野加央里さん(42)は、仕事の合間を縫って全国各地でボランティア活動をする中で、日高村のNPO法人「日高わのわ会」と出合った。 高齢者や地元企業への配食サービス、障害者就労支援など、多様な活動を展開するNPOだ。「利他の精神」で取り組む姿勢に感銘し、東京から毎月のように通った。
ただ困ったのは、村に宿泊場所がないことだった。協力隊員として役場と一緒に宿をつくろうと、移住を決意。わのわ会で広報を担当しながら、2019年に宿をつくった。 ▽村とつなぐサービス 小野さんは任期後の2020年、別の元隊員と一緒に一般社団法人「nosson」を設立した。 「いきつけいなか」と銘打ち、田舎暮らしや協力隊に興味がある人に、日高村との関わりをつくるサービスを提供している。オンラインイベントを開いたり、村での求人を紹介したり。行政との仲立ちも担う。 「移住は結婚と似ている。まずは地域を知って長所も短所も知るのが良い」 村役場も、隊員が定着するよう工夫している。着任に当たって3年後のビジョンを描いてもらい、多くの隊員は地域の事業者に出向してスキルを磨き人脈を築く。 村の担当者は「話し合いながら、自分で考えてもらい、ミスマッチを防ぐ」と話す。 ▽定着への課題