田舎へ移住して給料ももらえる…「地域おこし協力隊」7人に聞いた現場のリアル やりがいあるが、課題は定住 起業や政治家への転身も
それでも、隊員たちが村に定着するための課題は残る。任期後、どうやって生計を立てていくかという課題だ。小野さんは指摘する。 「隊員には『その事業、実現できるのか』と専門的な指摘や助言をくれる身近な『上司』がいない。起業や就業がうまくいかず、地域を去るケースは少なくない」 そこで小野さんは、地域外からマーケティングやアイデアづくりのプロたちを講師として招き、隊員らを支援するプログラムを組んだ。 村の担当者も「外から人やノウハウを入れて地域に還元してくれた」と歓迎。参加者からも「誰に喜んでもらえたら仕事として続けていけるか、分かってきた」と好評だった。 小野さんは力を込める。「移住者と地域、自治体で、地域をどう良くしていくか描くことが求められる」 ▽議員に転身 最後に、徳島県那賀町木頭地区での地域おこし協力隊員を経て、町議に転身した重陵加(しげ・りょうか)さん(42)にインタビューした。
学生の頃から農山村の衰退に危機を感じ、自分にできることを考え続けてきました。 大学院を出て、京都でそばを使った飲食店を開業しました。結婚や出産を機に、思うように活動ができず悩んでいた時、学生時代からの那賀町の知人に「木頭で子育てしてみたら。隊員の仕事もある」と声をかけてもらいました。 農山村の課題に取り組めると思い、2020年、協力隊員として、家族で移住しました。 特産の「木頭ユズ」が、過疎と高齢化で収穫されないまま腐った状態で放置されている現状を目の当たりにしました。小中学生と一緒に解決策を考え、消えゆく限界集落を維持しようと取り組んできました。 そんな中、2023年の町長選で、4人が立候補し、12年ぶりに選挙戦となることが分かりました。候補者の考えを聞こうと、私が公開討論会を計画しました。 ただ町役場は「控えてほしい」の一点張り。納得できませんでしたが、仕方なく、隊員を辞めて開くことにしました。