汚染源がなかったはずの岡山と200キロ離れた工場周辺で特殊なPFASを検出! 「偶然とは考えづらい」汚染が拡散したのか
専門家「稀な物質の組み合わせの検出、偶然とは考えづらい」
今回の活性炭と地下水の成分分析結果をどう見ればいいのか。原田准教授はこう話す。 「PFASの中でもきわめて稀な物質の組み合わせが、大阪と岡山でともに検出されたのは偶然とは考えづらい。ダイキンの工場で使われていたPFAS類が活性炭に吸着したまま岡山に運ばれた蓋然性は高いだろう」 満栄工業の町や住民に対しての説明では、こうした活性炭は野積みを始めた2008年ごろより前から引き受けていたが、PFOAなどが含まれているとは知らされておらず、有害物質を漏出させている認識はなかった、と釈明しているという。 本来、汚染を取り除くために使われた活性炭が逆に、2次汚染を引き起こした可能性があることに対し、業界としてどう取り組むのか。 満栄工業の主要取引先であるクラレと大阪ガスケミカルなど4社が加盟する「日本無機薬品協会」(東京都中央区)は、「満栄工業は加盟社ではなく、詳細を把握していない」としたうえで、こう答えた。 「協会としては法令順守の啓蒙等、会員企業に対し引き続き適宜適切な情報提供を行ってまいります」 協会で活性炭部会の部会長を務める大阪ガスケミカルは、満栄工業だけでなくダイキン工業とも取引があることを認めているが、その詳細については明らかにしていない。 岡山・吉備中央町での汚染を受けて、環境省は現在、PFASを含んだ活性炭の使用や廃棄の実態について調査している。廃棄物対策課の担当者は、 「聞き取りやアンケートで活性炭の使用や廃棄の実態把握に務めている」 というものの、個別事案について排出元を調べる予定はないという。 筆者:諸永裕司(もろなが・ゆうじ) スローニュースで『諸永裕司のPFASウオッチ』を毎週連載中。(https://slownews.com/m/mf238c15a2f9e) ご意見・情報提供はこちらまで pfas.moro2022@gmail.com
諸永裕司