40代から考える「人生設計と住まい」ロードマップ 建築家が「賃貸でもいい」と考える“本当の理由”
もし、今お住まいの地域が気に入っていて、老後も住み続けたいと考えているなら、今の家で老後も快適に暮らせるかどうかを考えてみよう。 「ちょっと大きすぎるかもしれない」「段差が多くて老後は大変になるかもしれない」などの不安があるなら、同じ地域で住み替えをするという選択肢もアリだと思う。 まずは家の資産価値を調べて、値段が付くようなら売却。しばらくコンパクトなマンションを借り、じっくり終の住処となる物件を探す。またはそのまま賃貸を続け、身体の不自由を感じ始めたら高齢者向けの施設に移ってもいいだろう。
子どもに不動産を残したいという考えもあろうが、今や売却ができずに空き家となれば、資産ではなく「負動産」になりかねない。 そう考えると終の住処を持たずに生きる、すなわち終活として生き方をコンパクトにし、子どもの負担を最小限にすることは理にかなっていると思ったりもする。 とはいえ私も建築家なので、終の住処はいらないと断言するつもりはない。予算が許せば新築もいいものだ。コンパクトな家なら、今の大きな家を大規模リフォームするのと大して変わらない金額で建てられることもある。
私のクライアントにも老後に暮らしやすい家を新築して、第二の人生を謳歌している方がいらっしゃる。そして、全員が幸せそうだ。
湯山 重行 :建築家・一級建築士。アトリエシゲ一級建築士事務所代表