40代から考える「人生設計と住まい」ロードマップ 建築家が「賃貸でもいい」と考える“本当の理由”
時代は過ぎ、インターネットが普及しグローバル化の波がやってきた。 さまざまな国からの訪問者、就労者、移住者が増え、今では彼ら彼女らの文化や発信する言葉、振る舞い、バックボーンを徐々に受け入れることにも慣れてきた。 ときどきハッと気付かされることもある。彼らの着眼点や観念の角度だ。 信仰であったり、戦争観をきっかけに、テレビで観ていた正義のヒーローが絶対ではなく、世の中は立ち位置によって変わるのだと。良い悪いではなく、現実を素直に受け止めて真正面から向き合い、そして分かち合うことが大切だと。
次の目的地に向かって切符を手に入れたら一安心とばかりに、人生のレールの上を猪突猛進するのではなく、自分の足で、自分で決めた人生の目的地に向かう。 多少の失敗はするかもしれないけれど、「なあに、今までの経験を生かし上手に乗り越えられるだろう」と進めば、自分だけの青い空と爽快な人生が眺められるに違いない。 そうと確信したなら話は早い。身軽なほうがフットワークも軽いから荷物も身に着ける物も必要最小限でいい。それらを包み込む家も小さくていいだろう。
人生の冒険にはお金もかかるから、多少の軍資金も残しておきたい。ますます小さな家で十分になってきた。はるか遠くを目指したくなってくれば、家を引っ越す必要も出てきそうだ。やっぱり家は小さくしておこう。 終の住処は昔の話。 たどり着いた理想郷で、愛おしいくらいかわいい小さな家で暮らしてみよう。マトリョーシカのようにだんだんコンパクトになる人生も潔い。 ■終の住処はいる? いらない? 75歳まで存分に生きたとして、そのあとはどうするのか? 最終的に終の住処が必要になるではないか? そんな声も聞こえてきそうである。
たしかに高齢になると賃貸物件が借りにくくなる。「老後に住む家がない」と騒ぎ立てるメディアの記事も見かける。しかし、だからといって今住んでいる家を終の住処とするのは、人生の可能性を狭めることになるのであまりお勧めしない。 仮に30代・40代で子育てしやすい家を購入したとする。しかし、子どもは20年もしないうちに巣立ってしまう。残った家が夫婦2人暮らしにマッチしているかといえば、そうでない場合も多い。