アルピナ製BMW5シリーズ全7世代をテスト!5シリーズはアルピナブランドの心臓であり魂だ
愛情を込めて装飾されたスポーツシートに身を沈めると、すぐにくつろいだ気分になる。レザーはまだ新車のような香りがし、ドライバーの方に角度をつけたアームレストは完璧だ。アルピナは我々のために、最も神聖なミュージアムピースを眠りから覚ましたのだ。この「B10ビターボ(ちなみにアルピナ自身は、「Bi-Turbo」と2進数のダッシュで表記している)」には、「507」という意味深長な生産番号が刻まれている。イグニッションキーを回すと、3.4リッター直列6気筒エンジンがうなり声を上げる。
木製のギアシフトスタブに目をやると、思わず立ち止まる。シフトバッグの左側にある小さな銀色のコブに見覚えがある。そう、これは90年代半ばにプジョーが「306」に取り付けたのと同じタイプのセンサーロッドイモビライザーだ。どうしてそんなことがわかるのかって?1996年式の「306 1.6i」は、私が18歳のときに初めて買ったクルマだった。そんなロック解除スティックをズボンのポケットに何年も入れていた。
感傷に浸るのはもう十分だ。クラッチを踏み、超短いシフトスティックで左前方に移動する。一瞬の抵抗の後、1速が入る。その通り、筆者が8歳の頃、父親の「5シリーズ」のギアスティックは多かれ少なかれこんな感触で、ギアシフトに夢中になっていた。それは32年経った今も変わっていない。写真撮影場所へのドライブでは、慎重に走り込み、すべてを作動温度まで上げてから、「アルピナ5シリーズ」の真価を発揮させるというのがモットーだ。
ドライバーに語りかけるB10
控えめに言っても、その加速はまさに狂気の沙汰だ。現行モデルが速くないというわけではないが、「E34」ではすべてがより原始的で、より機械的で、あるいはもっと男性的に感じられる。「正真正銘のドライビングプレジャー」というのが、おそらく最も適切な表現だろう。「B10」はドライバーに語りかけてくる。ギアが機械的に噛み合う音、フルロック時のパワーステアリングの少し不安になるようなグラインド音、2基のギャレット製スーパーチャージャーの特徴的な口笛は、つかの間だが再現可能な証拠であり、クルマには確かに魂が宿っているのだ。
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