茨城・石岡で皇室献上柿の審査会、昭和30年から続く伝統事業 生産者「おいしくできた」
果物の生産が盛んな茨城県石岡市八郷地区で21日、皇室への「献上柿」として「富有柿」を選ぶ最終審査会が行われ、審査員たちは色づきや形のよい最高品質の72個を厳選した。選ばれた柿は、22日に皇居などに届けられる。 市八郷総合支所を会場に、谷島洋司市長と生産者でつくる石岡市八郷柿振興協議会のメンバーで柿を審査。柿色のはんてんを着た審査員は、真剣な表情で1次、2次審査を通過した210個の柿を一つ一つ手に取り、確かめていた。 形や色づきのよさ、傷が付いていないかなどが審査の基準となり、審査員は手袋を着用のうえ、丁寧に桐箱へ詰めていった。 同協議会会長の本多敏治さん(72)は「今年の柿は夏の高温・多湿やカメムシなどの病害虫の被害などがあったが、収穫期に温度が安定して色づきよく、おいしく出来上がった」と太鼓判を押す。 石岡市によると、皇室への献上は、昭和30年に生産者が宮内庁に納めたのが始まりという。44年からは旧八郷町の事業となり、合併後は石岡市が引き継いだ。ここ数年はコロナ禍の影響から宅配便で送っていたが、今年は5年ぶりに直接届けられるとあって、生産者も喜んでいるという。 谷島市長は「(献上柿が)70年近く、途切れることなく続いていることは素晴らしいことだ。この伝統ある皇室献上を、富有柿の産地としてこれからも持続していきたい。(献上は)一般の人へのPR効果も大きいし、地域の誇りにもなっている」と話していた。(篠崎理)