「そのいびき、放っておくと実は危ない…」1つでも当てはまっていたら要注意!30~40代男性がかかりやすい“睡眠時無呼吸症候群”について正しく学ぶ
睡眠時に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群(SASと略される)。30~40代の男性で悩んでいる割合が高く、実は重い病気の原因となりうる症状だ。詳しく知って対策したい! ⇒【写真】1つでも当てはまっていたら要注意!“睡眠時無呼吸症候群”についてプロが徹底解説、詳しい画像を見る(全7枚)
放っておいたら危険!! 睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?
一般的にはまだ知名度が低い睡眠時無呼吸症候群という病気について、専門家に解説してもらった。 教えてくれたのは 御茶ノ水呼吸ケアクリニック 理事長・院長/村田 朗 先生 無呼吸症候群の専門医院の院長。心地よい睡眠をサポートするとともに、メディアなどで無呼吸症の解説なども行う。 ■どんな症状? 仰向けに寝たとき、舌やアゴが落ちてきて気道がふさがってしまい、呼吸が止まったり呼吸しづらくなったりする病気が睡眠時無呼吸症候群(SAS)。一回10秒以上の呼吸停止が一時間に5回以上起こるとSASと診断され、5~14回が軽症、15~30回が中等症、30回以上が重症です。原因は肥満や加齢による筋肉の衰え、アゴが小さい骨格など。 いびきは、気道をふさいだ舌や上気道周囲の粘膜が呼吸をするときに震えて音がすることで起こるので、SASを疑うサインのひとつになります。また、呼吸が止まると脳は中途覚醒して呼吸をしようとします。呼吸が再開すると脳は眠りますが、再び気道はふさがるのでまた中途覚醒します。 このサイクルが一晩で何度も繰り返されて睡眠の質が悪くなり、昼間に眠気や倦怠感を感じるようになります。これもSASのサインです。 ■どんな病気を引き起こす? SASは様々な合併症を引き起こします。まず、十分に酸素がとりこめない低酸素症になることで心臓に負担がかかり、心不全に似た状態になったり、不整脈になったりします。また、夜中に何度も中途覚醒することで交感神経が緊張状態になり、その結果、血圧が高くなることがあります。 血圧だけでなく血糖を下げるインスリンに抵抗性がついて糖尿病になることもあります。日中の眠気や倦怠感から缶コーヒーの量が増えるなど摂食行動に異常をきたす場合もあります。最終的には、虚血性心疾患や脳血管障害などの動脈硬化症という死に至る病を発症する恐れもあることを十分に知ってほしいです。 ■どんな人がなりやすい? 加齢による筋肉の衰えから、舌やアゴの筋肉がゆるみやすくなり、気道をふさいでしまうため、中年以上の方がSASになりやすいです。ですが、今は若い人にも増えています。また、太っている人は脂肪で喉が圧迫されるのでSASになりやすいです。 女性もSASは発症します。特に閉経後になるケースが多いですね。男女の比率は圧倒的に男性が多いです。家族から「いびきがうるさい」と言われて診察にくる方が多いんですよ。 ■珍しい病気? 日本ではSAS予備軍は約2000万人いるといわれています。欧米人と比べてアジア人はアゴが小さいため喉や気道周辺のスペースも狭く、SASになりやすいのです。つまり、日本人は誰でもSASになる可能性があるといえます。ですが、欧米人は肥満の人が多いため、世界的に見るとSAS患者は欧米人のほうが多いです。 ■完治する? 現在の医療では、SASは対症療法のみになりますが、コントロールすれば抑えられる病気にはなっています。治療は保険がききますし、気になったら専門家を訪ねてみましょう。最近は睡眠解析サービスを行うカプセルホテルもあるので、自己の睡眠を知る一助にしてはいかがでしょう。 ■SASセルフチェックリスト 忙しくて診察へ行けない人に、自分が睡眠時無呼吸症候群かどうかを確認できるリストを用意! □いびきがすごいと言われる □寝ているとき呼吸が止まると言われる □夜中に目が覚めてしまう □夜中、トイレに起きる □朝、頭痛がする □起きると、口が乾いている □風邪をひきやすい □顎が小さい □昼間、集中できなかったり眠気がひどかったりする □親がいびきをかく チェックリストのうち、1~2個以上当てはまればSASの疑いありといえる。特に「いびきがすごいと言われる」「昼間、集中できなかったり眠気がひどかったりする」をチェックしていたら、一度クリニックを受診してもよさそう。 ■治療法は? クリニックで1泊の精密検査を受け、その結果に応じた治療法がすすめられる。代表的な治療法は3種類。 ① 空気圧で気道を広げる呼吸器を装着して眠る 無呼吸が中等症以上の場合、睡眠時にシーパップを装着する治療が行われる。シーパップとは、鼻に装着したマスクから一定圧の空気を送りこみ、気道を広げて呼吸を補助する機械。 ② 自分専用のマウスピースを装着して就寝する 無呼吸が軽症~中等症の場合、歯科医で自分に合ったマウスピースを作り、装着して就寝する。マウスピースの効果は、下顎が前に出て気道がある程度広がり、呼吸しやすくなること。 ③ 生活習慣を改善して様子を見る 睡眠時の無呼吸が軽度の場合、生活習慣を改善する指導が行われる。具体的には、肥満の解消、煙草・飲酒を適量にするなど。寝姿勢は気道がふさがりにくい横向き寝が推奨される。
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