【北九州記念回顧】他馬を圧倒した天性のダッシュ力 ピューロマジックのスピードが秋に向けてのポイントに
自然流で2番手につけた2、3馬身
2年前のCBC賞は同じ開幕週の小倉で行われ、テイエムスパーダが1:05.8の快時計を叩き出した。このとき、ペースが厳しかろうと、馬のリズムさえとれていれば、簡単には止まらないということを知った。小倉の開幕週ならではの現象でもあった。今年、同じシチュエーションで行われた北九州記念は重に近い稍重という条件こそ違ったが、結果は似たようなものだった。前走重賞勝ちのピューロマジックは53キロ。3歳牝馬の基礎重量より1キロ背負わされるも、リズム重視の競馬で見事に押し切った。 【北九州記念2024 推奨馬】複勝率77.8%の強力データ持つ伏兵馬あり! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 小倉の短距離戦らしく、スタートで勝負を決したといってもいい。ピューロマジックはゲートの出こそ抜群とはいえないが、そこからのダッシュ力がすべての出走馬を圧倒した。それも鞍上は決して急かしてはなく、馬自身の天性のダッシュ力が違った。最初の200mで、2番手に2、3馬身差をつけた。後ろのプレッシャーを受けない絶妙な間隔を労せず取れれば、あとはマイペース。後続は短距離では大きな差といえる2、3馬身差に苦しんだ。直線入り口でついてきたのはヨシノイースターだけ。ほかの先行型がバテたことで、固まって進んだ中団馬群は進路を作るのにワンアクション必要になった。ピューロマジックの術中にはまったようなものだ。 この日の小倉は南西方向からの風が強く、1200mは前半追い風、後半は向かい風を受ける状況にあった。前半600m32.3はハイペース判定ではあるが、風のあと押しと後ろからプレッシャーを感じないピューロマジックのマイペースを踏まえれば、厳しくはない。気分よく走りつつ、後半の向かい風を迎えた。後半600mは35.6で、ラスト200mは12.6。さすがにピューロマジックも風に体力を削られた。とはいえ、前半の差が最後に効いた。追いかけるヨシノイースターも2、3馬身前にいる勝ち馬をとらえるほどの脚がなかった。下手に体力温存を目論み、後ろを引きつけていれば勝てていない。 「迷わず行けよ、行けばわかるさ」といった競馬。雨の影響を受け、決着時計は速くなかったが、やはり小倉の開幕週はスピード任せの強引な競馬がいい。逃げ切って重賞連勝。ピューロマジックのスピードは秋に向けてポイントになる。