世界ランクトップ15以内の3人が首位タイ! 有名選手のメダル争いは五輪主催者にとって喜ばしい? それとも期待外れ?【パリ五輪/2日目】
パリ五輪男子ゴルフは2日目を終え、10位タイまでの12名中、国籍が同じなのは大会最多4人を擁するアメリカ勢(ザンダー・シャウフェレ&スコッティ・シェフラー)だけ。あとは11の国の選手がランクインしている。日本のエース・松山英樹が連覇を目指すシャウフェレとイギリス代表のトミー・フリートウッドとメダル争いをリードしているのは我々日本人にとってワクワクする展開。しかし主催の国際ゴルフ連盟の思惑は少々違うようだ。 松山英樹1W正面連続写真(撮影/姉崎正)
首位に並んだのは世界ランク15位以内のエリートゴルファー。4位に元世界ナンバー1のジョン・ ラームがつけており実力者が順当に大会を引っ張っている。 しかし日本、アメリカ、イングランド(オリンピックではイギリス)、スペインはゴルフ人気が高い、いわばゴルフ先進国。この中からゴールドメダリストが誕生してもグローバルな観点ではインパクトが低い。 国際ゴルフ連盟の事務局長アントリー・スキャンロン氏は大会前こんなことを語っている。「我々にとって五輪での成功は男女で6つの異なる国からメダリストを輩出することです。それがゴルフというゲームの多様性を示すからです」 つまり今週の男子競技では3つのメダルのうち少なくとも1つをより小さなゴルフ発展途上国の選手が獲得することを主催者は期待しているのだ。 ゴルフ大国にとって五輪のメダルがゴルフへの関心度を高める道具にはならない。しかしゴルフ後進国にとっては大きな起爆剤になる。 10位タイにつけるチリのホアキン・ニーマンはいう。 「チリではゴルフのトーナメントで優勝するよりも金メダルのほうに意味がある。PGAツアーやLIVゴルフのことを国民の98パーセントは知らないしフォローもしていない。でもおそらく100パーセントの人が、オリンピックが何であるかを知っている」
同じ理由で地元のマシュー・パボンは「フランスではメジャーより五輪でメダルを獲ることのほうが国民の注目を集めるのです」といっている。
フランスのお隣ベルギー代表のトーマス・デトリーは2日目のベストスコア63をマークし5位タイに浮上すると「ベルギーのゴルフ人口は多くありません。だからメダルを持ち帰れたらゴルフの発展に貢献することができます。そのためにここに来たのです」と語っている。 五輪の意義は国によって違う。すでにゴルフ人気が高い日本だが、だからこそ日の丸を背負った選手のメダルを期待している。日本人であるアイデンティティを誇りに改めて日本選手にエールを贈りたい。
川野美佳