外食企業の冷凍食品 販売は拡大傾向に、各々の強みを生かして提案
外食企業から販売されている冷凍食品が順調な推移を見せる。店内で喫食する人が増えている中、お土産や夕食などで活用されているという。ワンプレート商品の投入や、自社のこだわりを詰め込んだ商品など、それぞれの戦い方で着実に販売を伸ばしつつある。 ◆すかいらーくホールディングス 「ガスト」や「バーミヤン」などを展開するすかいらーくホールディングスは、冷凍食品に求められている「簡便性」を強化し、売上を大きく伸ばした。量販店向けの販売は、「2023年比でほぼ倍増」(購買本部HMDグループ【中食開発グループ】の奥井浩司ディレクター)と話す。ECも同様の傾向にあったようだ。 元々は自社のセントラルキッチンで製造した商品を販売していたが、販売に伸び悩んだ時期があったという。「セントラルキッチンで調理されたものは、レストランで最後のひと手間を加えることが前提になっている。それが美味しさなどになるのだが、家庭用の冷凍食品に求められる『簡便性』業には応えきれていなかった」と振り返る。 そこで、商品の製造を協力工場と共に取り組む体制に変えて、レンジ調理に対応した商品を拡充するなどしたところ、販売は大きく伸長したようだ。 ◆セブン&アイ・フードシステムズ 「デニーズ」を展開するセブン&アイ・フードシステムズにおいても、食器を汚さずに食事を終えられる一食完結型の商品を充実させたところ、販売は着実に推移しているという。また、値ごろ感のある「コーンスープ」も幅広い小売店から引き合いが来ているようだ。 商品部外販マーチャンダイジング統括マネージャーの兼田敏宏氏は「店内喫食と外販の両面で回り始めている」と話す。 ◆ジョイフル 簡便性の高い商品の提案で売上を伸ばした企業がある一方、自社のこだわりを追求し、販売を伸ばした企業もある。 九州を中心にレストランを展開するジョイフルでは、自社の看板商品であるハンバーグを中心に、販売を伸ばしてきた。店舗のある九州エリアで高い売上を確保しているほか、店舗の少ない関東や中京、近畿エリアでも販売を伸ばしている。 商品の特徴について、ジョイフル商事の松本和雄課長は「ジョイフルの味、という軸は変えず、店舗の味をそのまま家庭でも楽しめるような設計にしている」と語る。「元々九州に住んでいた方が商品を見て、『ジョイフルだ』と喜んでくださることがある。ソウルフードのようになっていると感じており、期待を裏切らないためにも、店舗の味をそのまま届けることは続けたい」という。23年の売上は、販売を開始した18年比で約3倍もの規模になったようだ。 ◆ピエトロ パスタ専門店などを展開するピエトロでも冷凍食品の販売は着実に伸長している。小売店での半場は20%以上伸長し、ECでの販売も10%以上増えたという。最近では「ナチュラルローソン」の一部店舗でも採用され、1000店舗での採用を目指すべく、提案をより進めている。
〈各社 ワンプレート商品の投入も〉
支持が高まりつつあるワンプレート商品の投入も見られる。すかいらーくHDでは、バーミヤンで人気のメニューを組み合わせた「バーミヤンプレート」3種を、今年9月に全国で発売した。販売は順調に推移しているという。 セブン&アイ・フードシステムズでも、新たなワンプレート商品として、「お子様ランチ」のようなものを検討している。 ジョイフルでも、市場の動向から、今後はワンプレート商品の開発も視野にあるという。 コロナ禍を過ぎ、一過性のブームではなく着実に販売を伸ばしており、次の展開に期待が寄せられている。
食品産業新聞社