佐藤健の超絶アクションだけじゃない! 実写版「はたらく細胞」が成功した理由と、意外にダークな注意点
映画「はたらく細胞」が12月13日より公開されている。結論から申し上げれば、漫画の実写映画化の成功をたたき出した例として当面語られ続けるであろう、素晴らしい作品だった。 【動画】予告編を見る 後述する意外な注意点はあるものの、「やりきったビジュアルとスケール感」「ハマりまくりなキャストと超絶アクション」「映画ならではの再構成」の3点をこれ以上ないほど突き詰めた傑作に仕上がっている。
1:笑いを超えた、感動さえあるビジュアルとスケール感
原作の『はたらく細胞』は、アニメ化もされた言わずとしれたヒット漫画。体内の「赤血球」や「白血球」などを擬人化し、「花粉症」から「ガン」まで、さまざまな細胞との攻防をシュールかつコミカルに描いた作品だ。 漫画の実写映画化で特に批判されやすいことに「コスプレ感」がある。マンガやアニメではデフォルメや極端な表現ができるが、舞台ならともかく実写の映像化作品でそのまま再現してしまうと「現実にはあり得ないよね」と冷めてしまいかねない。 だが、「はたらく細胞」ではその問題は起こり得ない。原作からして、体内が現実から誇張、いやまったく別の世界へと作り替えられているため、そもそも「現実にはあり得ないキャラクターと世界を許容できる土台」があるのだ。 それでも中途半端なアプローチであれば炎上していた可能性もあっただろうが、本作では「ワンダーランド」と銘打たれたことも納得の「実写映画でここまでやりきった」ビジュアルとスケール感が最大の魅力となっている。 「ゴジラ -1.0」などでも知られるスタジオ「白組」によるCGと、総勢約7500名にのぼるエキストラを動員して作り上げた、ファンタジックな世界観やカラフルなたくさんの細胞が働いているシーンはスクリーン映えし、見ているだけで楽しい。 ときには「大便が押し寄せる肛門での激しい攻防」というバカバカしくさえある場面も全力で作り上げている。「どれだけ滑稽に思える場面でも、登場人物はふざけたりはせずに大真面目」というのは、本作の武内英樹監督が過去に実写化した作品「テルマエ・ロマエ」「翔んで埼玉」でも共通しており、そこには笑いを超えた感動さえあるのだ。