100億円マッチも夢ではない?!井上尚弥の日本ボクシング界初となる12・14防衛戦のPPV配信は成功するのか
そして、最も肝心なのが、「3960円の値打ちがあった」と視聴者を満足させる試合内容だ。 井上は、この日の会見で名言を残した。 「ファンの予想を遥かに超える勝ち方、期待を超える勝ち方を目指して、当日、最高のパフォーマンスができるコンディションを整える。皆さんの期待を超える勝ち方に期待して欲しい」 会見で流されたティザー映像では「リードパンチで倒すのが一番かっこいい」と注目発言を残しており、それについて説明を求められると「ドネア、カシメロへのアピールもあるし、実力差を見せて勝たないといけない試合。それ(リードパンチ)で倒すとうより、それくらいの実力差を見せて勝ちたいし、そういう試合をしたい」と回答した。 挑戦者のディパエンは、世界的知名度はないが、12勝(11KO)2敗で79%のKO率を誇る超好戦的なハードパンチャー。タイボクサー独特の不気味さはあるが格が違う。王者がジャブで勝負を決める展開があっても不思議ではない。日本時間で井上の防衛戦の2日前には、WBC世界同級王者のノニト・ドネア(フィリピン)が米国カーソンで同級暫定王者のレイマート・ガバリョ(フィリピン)と、WBO世界同級王者のジョンリエル・カシメロ(フィリピン)がドバイで同級1位のポール・バトラー(英国)とそれぞれ指名試合を行う。この画期的なPPVマッチは「来年の春にある団体統一戦へ向けて試合感覚をつかむ」との位置づけにある試合でもある。ドネアか、カシメロか。これが世界的に注目を集めている統一戦に向けての前哨戦となる。 最後に。 この日の井上の会見の問答で、少し驚いたのは、「バンタム級で興味のある選手」として、今回の対戦相手として最初にオファーして断られた元WBA世界同級スーパー王者で現1位のルーシー・ウォーレン(米)、同2位ゲーリー・アントニオ・ラッセル(米)の2人の名前を挙げたこと。何かのメッセージが含まれているのかもしれない。果たして歴史的なPPVマッチで井上がどんな「期待を超える勝ち方」を見せてくれるのか。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)