「垂れているのが水なのか経血なのか」「いずれ無月経に…」パラ競泳選手・石浦智美が語る視覚障害と生理
Facebookの投稿で「月経カップ」と出会った
――月経カップとは、どんな風に出合われたのでしょうか? 石浦 2019年に、当時フィンスイミング日本代表選手だった山階早姫(やましな・さき)さんがfacebookで月経カップについて発信されていたんです。 そこには、「月経カップを使うことでトレーニングに集中できるようになった」「荷物が減った」「汚れない」とか、良いことがたくさん書かれていたので、使ってみたいなと思いました。そこで、すぐに山階さんに連絡して「目が見えない私にも使えるかどうか」を聞いてみたんです。 木下 山階さんは私が競泳選手だった頃からの仲間で、現在はインテグロの月経カップアンバサダーも務めてくださっています。 そんなご縁もあり、山階さんから私に「視覚障害があっても月経カップを使えるのか」を一緒に考えてほしいと相談がありました。話し合った結果「健常者だって膣の中は見えないのだから、“使いたい”という気持ちがあれば十分に使えるはずだ」と。 ただ、形状や使い方などは、どうしてもテキストだけでは伝わりにくいので、直接石浦さんにお会いして、カップを触ってもらいながら説明することになったんです。 ――月経カップを使うにあたり、インテグロの木下さんや神林さんはどんなサポートをされましたか? 神林 まず、月経カップを手に取っていただき、形状や大きさ、やわらかさや弾力性などの感触を確認していただきました。その後、カップの折りたたみ方を練習しました。手を丸めて膣に見立てて、その中に折りたたんだカップを入れ、中でポコンと開かせる練習や、膣に密着させた状態から空気を抜いて取り出す練習も行いました。 このイメージトレーニングは、私たちが月経カップ講座でも行っている内容と同じで、YouTubeなどでも公開しています。 ――石浦さんは実際に月経カップに触れてみて、いかがでしたか? 石浦 最初は「これが本当に入るのかな?」という不安はありましたが、触って説明を聞いているうちに、これなら私にも使えそうだなと思いました。 実際、慣れるまでに3カ月くらいかかる人が多いと聞いていましたが、私は想像以上にスムーズに装着でき、違和感なく使えたんです。 神林 そのお話を伺った時はとても驚きました。もしかすると、目が見えない石浦さんのほうが指先の感覚が優れていて、それが月経カップの扱いにも役立っているのかもしれませんね。