血便は「大腸がん」のサイン!? 考えられる病気・大腸カメラの重要性も医師が解説!
普段の生活の中で血便が出た場合、どんな異常が考えられるのかご存じですか? 放置していて自然に治ることがあるのかも気になるところです。今回は、血便の出る病気や大腸カメラ(大腸内視鏡検査)の重要性などについて、「和光市駅前かわはら内視鏡・消化器内科クリニック」の川原先生に解説していただきました。 【イラスト解説】「大腸がん」を発症するとどんな血便が出る?
血便は大腸がんのサイン?
編集部: 血便が出てしまいました……。大腸がんなのでしょうか? 川原先生: 血便が出る原因は様々ですが、大腸がんが原因の場合もあります。ただし、痔や消化器の炎症など、ほかの疾患でも血便が出ることがあるので、すぐに「大腸がんだ!」とパニックになる必要はありません。 編集部: どうしたらいいのでしょうか? 川原先生: 医師の診察を受けましょう。特に、「初めて血便が出た」「血の量が多い」「黒っぽい血が混じった便が出た」などの場合は、速やかに医療機関を受診してください。 編集部: 血の色も関係あるのですか? 川原先生: はい。痔の場合は明るい赤色の血がみられることが多い一方で、大腸がんや大腸がんの手前の状態にあたる大腸ポリープなどの場合は、血が出てから排便までに時間が経過しています。そのため、黒っぽい便や暗い赤色の血便になることが一般的です。胃などの上部消化管で出血している場合は、タール便と呼ばれるドロドロした黒色の便になります。 編集部: がんと便の血液は、どのように関係するのでしょうか? 川原先生: 大腸がんや大腸ポリープがあると、便が腸を移動する際に便と腸壁の組織が擦れて血液が付着します。大腸がん検診に「便潜血検査」がおこなわれるのもそうした理由からです。
血便が出たときの対処法
編集部: 血便が出たとき、自然に治ることはあるのでしょうか? 川原先生: たしかに、軽度の痔や感染性腸炎、虚血性腸炎であれば治ることはあります。しかし一方で、大きな病気が隠れているサインかもしれないので、一度でも血便が出た場合は消化器内科を受診しましょう。 編集部: 血便で受診した場合、医療機関ではどのような検査をするのですか? 川原先生: 血便が出た場合は、大腸カメラが最も効果的です。小型のカメラを使って大腸の内部を視覚的に確認できるので、「大腸がん」や「大腸ポリープ」などの異常を発見できます。また、それ以外の病気が見つかることもあります。 編集部: 大腸カメラで、どのような病気がわかるのでしょうか? 川原先生: 大腸がんやポリープ以外では「潰瘍性大腸炎」「クローン病」「虚血性腸炎」「大腸憩室症」などを発見することができます。さらに、早期の大腸がんや大腸ポリープなどが見つかった場合、その場で病変を切除でき、組織検査もおこなえるのが大腸カメラの特徴です。 編集部: その場で切除できるのですね。 川原先生: はい。切除した病変を生検に回して、良性か悪性かを判断できます。早期の大腸がんや大腸ポリープは、切除するだけで根治となる場合も多く、そうなると開腹手術を受ける必要はありません。