なぜ世の中の母親たちは出産を決断できたのか…30代既婚の私が列挙した「子供を産まない理由」
子供を産むことに不安を感じる女性が増えている。ライターの月岡ツキさんは「私が子供を産まない理由を考えたら40個も見つかった。逆に、子育て中の女友達に子供を産んだ理由を聞いたら衝撃的な答えが返ってきた」という。著書『産む気もないのに生理かよ!』(飛鳥新社)より、一部を紹介する――。(第2回/全3回) 【図表】私が子供を産まない理由(40個のうちから一部抜粋) ■「産まない理由」は5種類に分類できる ふと、「私って、どうして子供が欲しくないんだろう」と思い、Google スプレッドシートに「子供を産まない理由」を列挙してみたら、40個あった。 いつも、なぜ子供を産まないのかを人に聞かれたときには、「いろいろ理由はあるんですが、“なしの方向”で楽しくやっていけそうなので」といったふうにざっくり説明していたんだけれど、「いろいろ」の内訳が40個もあるとは――。そりゃあ一口に説明しにくいはずである。 理由のほとんどすべてはこの本の中で語られている内容で、「出産そのものに対する疑問・不安」「子育てというタスクへの不安」「母になることによるアイデンティティ喪失の不安」「子供を育てるうえでの社会への不安」「子供を持たないことで叶えたい生活」の5種類に分類できた。 スプレッドシートを眺めていると、もうどの角度から見ても産みたいと思えないじゃん……と、改めて気が遠くなる。 逆に、産んでいる人ってどうして産もうと思えるんだろう。これらの産まない理由をすべて解決できているから産んでいるのか? といえば、たぶん違うのではないか。
■「自分の子供に会いたい」のほうが勝った 子供を育てている女友達何人かに「どうして産もうと思ったの?」と聞いた結果、共通していたのは「ツキちゃんが挙げているような『産まない理由』も全然分かるけど、そういうのと自分が『子供が欲しい』と思う気持ちは、つなげて考えてない」というものだった。 これが私にとっては衝撃的だった。 つなげて考えてない。 つなげて考えないということが可能なのか。 聞けば、「さまざまなネガティブ要素よりも、自分の子供に会いたい、母になりたい気持ちが勝った」結果であり、要は「なんとかなるほうに賭けた」ということだ。 さまざまな産まない理由を並べてみて、「やっぱり産むのはやめよう」となる私と、「そうは言っても子供を産みたい」となる人の違いは、一体どこにあるのだろう。 リスクよりも自分の気持ちを優先して動き、新しい人間をこの世界に生み出すという行為は、なんと輝かしいエゴだろう。「自分の子供に会いたい」という気持ちの、引力の強さに圧倒されて、眩しい。 ■深く考えずに産むことは「無責任」なのか? 彼女たちは、世界と自分と子供を信じているから、賭けに出られるのだろうか。 それとも、世界も自分も子供も信じられないまま、問題が解決しないまま、グレーゾーンのままで、それでも飛び込む勇気があるのか。 はたまた、そんな悩みをそもそも抱えないくらい、楽観的に生きられるのか。 子供を産んでも引き続き私と仲良くしてくれる女友達は、みんな「ツキちゃんは子供を産むことについて、すごくよく考えていて偉い」と言ってくれる。「私はそんなに深く考えずに産んじゃったから、ある種、無責任だと思う」とも。 彼女たちが自分の選択を後悔しているようには見えないし、私に対して謙遜してくれている面も少なからずあると思う。 でも、本当は深く考えずに産んじゃっても普通に幸せに暮らせる世界のほうが正しいのに、深く考えずに産んじゃうことに「無責任」のレッテルが貼られるのは、一体どういうことだろう。