「垂れているのが水なのか経血なのか」「いずれ無月経に…」パラ競泳選手・石浦智美が語る視覚障害と生理
ようやく語られ始めた「生理」のこと。しかし見過ごされがちなのが、障害を持つ女性たちの存在です。そんな中、視覚障害がある競泳選手の石浦智美さん(36)は月経カップ愛用者であることを公表。今では「手放せない存在」としてパラアスリート仲間におすすめすることもあると言います。 【写真】この記事の写真を見る(5枚) 今回はそんな石浦さんと、石浦さんが月経カップを使う際にサポートをしたインテグロ株式会社の神林美帆さん、同社の生理ケア&月経カップアドバイザーで、元競泳選手の木下綾乃さんにインタビュー。一人の女性として、アスリートとして、どのように生理と向き合ってきたか伺います。
徐々に視力を失いながら、水泳に熱中した10代の頃
――先のパリ・パラリンピックでは、水泳競技4種目に出場し、混合400メートルリレーで6位、女子100メートル自由形で8位に入賞と大活躍された石浦さん。まずは改めて、石浦さんの障害や、水泳を始められたきっかけについて教えてください。 石浦 生まれつき、緑内障と無光彩症(※)という病気があります。幼い頃はわずかに見えていたのですが、徐々に視力が低下して、現在ではほとんど見えない状態になっています。 水泳を始めたのは2歳頃です。当時は喘息気味で医師にすすめられたことと、2人の兄が水泳をやっていたことも影響していたと思います。始めたばかりの頃のことは覚えていませんが、泳ぐことは得意で、楽しかったですね。障害があると、スポーツ競技によっては、できないこともたくさんありますが、特別な道具のいらない水泳では、障害があるなしに関係なく平等にできるスポーツだと感じて、どんどんのめり込んでいきました。 初めて競技大会に出場したのは10歳のときです。障害者の水泳大会があることを教えていただき、出てみようかなと思いました。 ※先天性緑内障…眼の角膜と虹彩が接合する「隅角(ぐうかく)」の発育異常により、眼圧が上昇し、視神経が障害される病気。 無光彩症…目に入る光の量を調整する虹彩が生まれつき欠損している病気。 ――初めて出場された大会のことは、覚えていますか? 石浦 メダルを獲得できて嬉しかったですね。同じ年にシドニーオリンピック・パラリンピックが開催されていて、いつか自分も……と意識しはじめました。本格的に世界を目指したいと思うようになったのは、高校生で国際大会に出場した頃からです。 ――いわゆる健常者のアスリートは20代で引退される方が多いのに比べて、石浦さんは36歳の今も現役です。パラアスリートは年齢を重ねても活躍している方がたくさんいらっしゃる印象があります。 石浦 障害のレベルによっても差があって、軽度の障害の場合は、健常者と同じように新しい選手がどんどん登場して、20~30代で引退するケースが多いですね。一方で私のように重度のクラスでは、体力だけでなく細かい技術や身体感覚を求められるので、場数を踏んで経験を積むことも大事。視覚障害の選手や、車いすを利用している選手は競技寿命が長い傾向があります。