脳へのラジオの効果実証した医師・加藤俊徳氏 悩む人に「悲観は脳のごく一部 可能性信じて」とエール
脳科学者の加藤俊徳さんが、ラジオ関西の番組『明日への扉~いのちのラジオ+~』(パーソナリティ:川嶋あい)に出演。自身が行った「ラジオが脳を活性化させる」実験について語るとともに、悩みを抱える人へ脳科学の視点からエールを送りました。 【関連】久本雅美 ラジオで明かした苦節と“本当の勇気” 「悩むのは変わりたい証拠」とリスナーにエール 加藤さんは大学を卒業後、1995年から2001年までアメリカのミネソタ大学でアルツハイマー病などの脳画像研究に従事。帰国後は、慶応義塾大学や東京大学などで脳の研究に携わりながら、子どもから高齢者まで1万人以上の人を診断・治療してきました。 独自の脳画像・MRI診断を行う中で、加藤さんは、世界で初めて「ラジオが脳を活性化させる」ことを実験によって証明しました。実験は大学生8人を対象に実施。1日2時間以上、30日間ラジオを自由に聞いてもらい、実験前後の脳の形の変化を画像で比較するものでした。 「言葉の活動は、ほとんどの人が左脳側で処理している。だから、ラジオを聞いたら確実に左脳が覚醒して成長するんじゃないかと思っていた」という加藤さん。しかし、実験の結果は「むしろ右脳の記憶系や“理解する”領域が、ほぼ全員成長していた」とのこと。目に見えない情報を聞き手側がイメージしながら聴いていることが、脳の成長をもたらしたと加藤さんは分析しています。 その脳の成長には、テレビとは違う「情報が音だけ」というラジオならではの特徴が大きく関わっているとのこと。「情報の入口が1本に制約されることによって、自分の持っている脳をフル回転させて色々と想像を巡らす。ラジオの最大の力であり、効果だと思います」と加藤さんは話しました。 加藤さんによると「脳は100歳になっても、赤ちゃんの時から使われない未熟な細胞で満たされている」といいます。加藤さんは、「『人生100年』は短すぎて、我々が持っている脳の神経細胞を使い切ることはできない。だから何歳になっても新しい刺激を自分に取り込むことで成長できる。今か今かと脳は新しい情報を待っている」と持論を展開し、「脳が新しい成長を始めることが、僕は希望だと思います。全ての人がその希望を脳に持っていると言いたい」と、言葉に力を込めました。 番組の最後に加藤さんは、「悩んでいる今は通過点。今の自分がすべてではない」とした上で、さまざまな悩みを抱えている人たちに向けて脳科学者の視点からメッセージを送りました。 「脳は、自分が意識している以上にいろんな情報を分析し、いろんなことをやっている。ネガティブなことや迷っていることがあったとしても、それはあなたの脳のごく一部。自分の脳の可能性を信じて、どんな未来の自分を見たいか、そう思って次の瞬間を生きてほしい」(加藤さん) ※ラジオ関西『明日への扉~いのちのラジオ+~』2025年1月5日放送回より
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