ダイエットを成功させたいなら「間食」に気を遣うべき!? 正しい間食の取り方を解説
現代で合意を形成するのは難しく、イングリッシュ・ブレックファスト・ティーの正しい濃さや、ピザにパイナップルを乗せることの是非については人々の意見が分かるけれど、“間食”が一種の食品群であるということに関してだけは、満場一致でコンセンサスが取れている。 【写真】10kg落とすために変えるべき「10のこと」 間食と言えば少し前まで午後3時のチョコレートのことだった。それがいまでは、私たちの満腹感を維持して儲ける一大産業になっている。街角のスイーツショップでリンゴが食べやすいサイズにカットされ、ナッツバターに浸かっている様子を見れば、普通のリンゴを買う気がなくなる。 映画館でしか食べることのなかったポップコーンは、いまや20分以上の会議のマストアイテム。逆に、あれだけ流行ったエナジーボールは週1で顔を出す程度。1日3食の食習慣に取って代わってグレイジング(ちまちまと常になにか食べていること)が当たり前になってからは、昔ほど空腹を感じなくなった人もいるだろう。 ところが、細胞代謝学専門誌『Cell Metabolism』掲載の論文によると、この「頻繁かつ不規則」な食習慣には空腹ホルモンがまったく関係していない(本来、私たちは空腹ホルモンが出す合図に従って食べるべき)。 実際に市場調査会社ミンテルの調査でも、回答者の62%が間食をする理由に「欲」を挙げ、約3分の1が「退屈だから」、17%が「ストレスを感じているから」間食をすると答えた。
間食のメリットとデメリット
間食の習慣は昔からあると思っているかもしれないけれど、間食が一般的になったのは1950年代に入ってから。 米ノースカロライナ大学チャペルヒル校栄養学部のバリー・ポプキン教授によると、それまで「間食は誕生日ケーキが出るなどの特別な日に限ってすること」だった。 ところが、しばらくすると、栄養関係の知識人の間で「1日3食」の正当性を疑問視する声が上がり始めた。これは、食事を1日3回に限定すると、食事の時間が来る頃には腹ペコすぎて、食べものが一瞬でなくなってしまうケースが相次いだから。 おなかが空いているからといって一気に食べると、血糖値が急上昇した直後に急降下する関係で、またすぐにおなかが空く。カレーを食べすぎたと言った直後にデザートを食べてしまうのもこれが理由。 でも、間食で空腹感を抑えれば、血糖値の上昇を防いで活力を安定させることが可能。コレステロール値と血圧のことを考えるなら、1日1回ガッツリ食べるより頻繁に間食をとったほうがいいという研究結果もあるくらいだから、間食をすること自体は悪くない。 ところが、この話を食品業界が耳にして間食を“トレンド化”するやいなや、不健康なレベルまで間食をする人が増えてきた。栄養学者で著書に『The Portion Teller Plan』を持つリサ・ヤング博士は「ひっきりなしに食べていると、なにを食べているのかも、どれだけ食べているのかも分からなくなってきます」と警告する。 英国公衆衛生庁の調査でも、食べる量が多ければ多いほど、摂取カロリーが正確に見積もれなくなることが分かった。つまり、間食の中身がヘルシーでも、間食をしている限りは自分が思っている以上のカロリーを摂取してしまう可能性が高いということ。 トレンド予測会社Neilsonによると、間食の推定58%は計画外(英語圏ではスナックとアクシデントをかけて、計画外の間食が“スナクシデント”と呼ばれている)。米パデュー大学の調査では、1970年代以降、間食による平均カロリー摂取量が580kcal(1日に必要なカロリーの4分の1以上)も増えていることが発覚したけれど、間食がこれほどランダムであることを考えればそれも当然と言えるだろう。 これは深刻な問題で、脂質学専門誌『Lipids In Health And Disease』掲載の論文によれば、食べものをノンストップで取り込んでいると肝臓に脂肪が蓄積し、それが原因でインスリン抵抗性が生じたり、糖尿病のリスクが上昇したりすることがある。