初代のiPhoneのカメラは200万画素、17年で著しく進化したカメラの歴史、いよいよお目見えする「iPhone 16」でどうなる?
また、iPhone 12 ProからはApple ProRAWに対応し、iPhone単体で無加工の(しかしデータサイズは非常に大きい)画像の撮影が可能になっている。 精密な加工を施して作品として仕上げたいプロユースの場合はApple ProRAWで撮影できるようになったことで、通常の撮影時はNeural Engineで大きく加工して一般受けするような派手な画像に仕上げてもよいという方針になったのかもしれない。
いずれにせよiPhone 12 ProからiPhoneの画像は“映え”方向に大きく舵を切ったといえる。 近年になってもiPhoneのカメラの進化は止まらない。 まず、iPhone 14 Pro以降では、標準画角のカメラのセンサーが大型化され、4800万画素での撮影が可能となった。 この4800万画素のセンサーをそのまま4800万画素で使うのはApple ProRAW撮影のときだけで、通常撮影時には4倍ある撮像素子を感度や解像感を高めるために使う『ピクセルビニング』という処理に使ってる。このため、標準カメラで撮った画像は、iPhone 6sと変わらぬ1200万画素だが、写りは比較にならないほど美しくなった。
iPhone 11 Pro、12 Proでは3眼の設定が0.5倍、等倍、2倍だったのが、iPhone 13 Proでは0.5倍、等倍、3倍となり、さらにiPhone 14 Proでは、大型化されたメインセンサーの中央をクロップして2倍として使うことにより、3眼カメラで、0.5倍、等倍、2倍、3倍と4種類の画角を実現している。iPhone 15 Pro Maxでは、望遠側のレンズを5倍として、0.5倍、等倍、2倍、5倍としている。
■進化しても“自然な写り”を残している ここ数年のiPhoneの写真性能の向上にはNeural Engineによる調整が大きく影響している。“物理的に写るもの”より“人が見たいと思ってるもの”を写すようになりつつも、Androidとは違うiPhoneらしい“自然な写り”を残している。完全にナチュラルな画像が必要な人は、Apple ProRAWで撮影すればいい。 日本時間9月10日午前2時からのスペシャルイベントでiPhone 16シリーズが発表される見込みだ。2007年の初代発売から17年間たゆまず進化してきたiPhoneのカメラが、強力なAIを伴いどのような進化を見せるのか。
村上 タクタ :編集者・ライター