なんと日本隊だけで「1万7000個」も発見した…!奇跡の1969年に見つかった「大量の隕石」からの新発見と「残念な結果」
隕石の中にあったアミノ酸
隕石には、金属の塊のようなもの、岩石っぽいものなど、さまざまな外見のものがあります(図「隕石の分類」)。前者は鉄隕石、後者は石質隕石とよばれています。石質隕石はさらに、ルーペで観察したときに粒々が見えるもの(コンドライト)、見えないもの(エイコンドライト)に分類できます。 石質隕石の中のエイコンドライトと、鉄隕石、そして石質隕石と鉄隕石が混ざった石鉄隕石は、隕石のもととなった天体が高温にさらされて成分ごとに分離するなど、変化した(分化した)ものと考えられます。 一方、石質隕石の中でもコンドライトは、それほど高温にさらされておらず、多くは石のような外観をしており、普通コンドライトとよばれます。 また、コンドライトには石炭のように黒っぽいものもあります。これが炭素質コンドライトで、炭素を1~3%ほど含んでいます。炭素は加熱されると揮発してしまうので、炭素質コンドライトはコンドライトの中でもあまり加熱されなかったもの、つまり、太陽系をつくった材料がそれほど変化を受けずに残ったものと考えられています。太陽系の成り立ちを考える際には、なるべく最初の姿を保存しているものが重要なので、炭素質コンドライトはとくに注目されました。 さらに、炭素質コンドライトには有機物も含まれています。その中にはアミノ酸のような生命の材料も含まれるのではないかという予想も、古くからありました。1962年に発表された論文では、1950年に落下した「マレイ隕石」は炭素質コンドライトで、分析したところ14種類のタンパク質構成アミノ酸と、3種類の糖が発見されたと報告されています。 14種類のアミノ酸の中にはグリシン、アラニンなどの単純なアミノ酸に加え、ヒスチジン、リジン、アルギニンといった複雑なものも含まれていました。さらに、この論文では、普通コンドライトの「ブルーダーハイム隕石」からもアミノ酸や糖が検出されたとしています。 また、1961年には「オーゲイユ隕石」(1864年に落下した炭素質コンドライト)の中に、微生物のような構造体が見られるという論文も出されました。これらのことから、生命が宇宙から来たのではないかともいわれるようになりました。