洗足学園小学校・前校長 なぜ<全員中学受験が前提>のハイレベル小学校に大躍進できたのか?児童の学力向上につながった「小学校による受験サポート」とは
◆進路サポートルーム開設 校長になってすぐに、学校として積極的に中学受験を肯定し、児童の中学受験を全面的にバックアップしていこうという方針を決めました。 そのことに内心では疑問を持つ教員もいたかもしれませんが、大きな反対もなく、教員間の合意がある程度できたことで、同じ方向に向かって進むことができる手ごたえを感じました。 そこからは、新設した進路サポートの部署を中心に活動を進めました。「サポート」という名前にしたのは、あくまでも指導するのではなく、志望する中学へ進学したいという児童とその保護者の願いを支援するという意味を込めたからです。 進路サポートルームの開設にあたっては、高校で担当した進路指導部の経験を呼び起こし、その活動を手本にしながら進めました。東京・神奈川の主な中学校の学校案内を取り寄せて展示したり、受験関係の情報が手に入るようにしたりしました。 また、卒業生に、合格した中学校の受験体験レポートを書いてもらって、それをファイリングすることにより、いつでも手に取れるようにしました。 6年生に向けて、卒業生に体験を語ってもらう会も設けました。
◆中学受験は親子一体で臨まなければならない 進路サポートルーム開設と同時に手をつけたのは、保護者への対応です。 中高と小学校の進路指導にかかわった私が実感する両者の大きく違う点―それは、保護者のかかわり方です。 中高生にとっての大学受験は、本人の自覚と意志が何よりも必要になります。親にできることは子どもを励ますこと、そして常に平常心で向き合うことぐらいです。 しかし小学生がチャレンジする中学受験は親子一体で臨まなければなりません。 もちろん、がんばるのは本人ですが、中学受験をするかどうか、そして志望校を決めるのは子どもではなく、それぞれの家庭の教育方針や価値観、そして子どもの性格や能力を見極めて、親が方向付けをするのは避けられない事実です。 そこで、洗足の小学校では、在校生の保護者に向けて、卒業生保護者の座談会を企画しました。 中学受験は、親子一体型のチャレンジであること、また保護者の役割が大きいことを認めたうえで、経験を持つ保護者の話を聞く機会は重要だと考えたのです。
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